Story
この本のあらすじ
夕暮れになると聞こえてくる美しい「鐘の音」。
果たしてそれはどこから聞こえるのか、本当に鐘の音なのか。正体を突き止めようと探しに出る人々。しかし手がかりはつかめない。
そんな中、二人の少年があきらめずに探し求めた末、目にしたものとは。
Appeal
この本の楽しみ方・魅力
この “The Bell”は、“Children Book”というカテゴリーの作品でしたが、哲学的で深い内容でしたので「子供も読める大人の童話」というスタンスで翻訳しました。
「不思議な鐘」が聞こえるのは、人びとが互いの隔たりを無くし、絶対的な平穏を心から信じた時なのでは、という思いを込めて翻訳しました。この世界から分断や争いが無くなり、人類がみな、この「不思議な鐘」の存在を信じる日が来ることを願ってやみません。
もちろん、哲学的な内容の他に、色彩豊かな描写も読みごたえ十分でしたので、それを日本語でいかに伝えるかも大切なポイントでした。英文と翻訳を読み比べながら、読者の皆さんが、絵本の挿絵を思い描いて下さったら嬉しいです。
ブックレビュー
童話作家アンデルセンの日本未発表の作品です。
アンデルセンと言えば『みにくいアヒルの子』や『マッチ売りの少女』『人魚姫』などが有名ですが、この “The Bell”はこれらの童話とはかなり異なる印象です。
まず、始まりから終わりまでの時間設定がとても長いのです。まるで人類の「神」との関りの歴史を再現しているようです。アンデルセンは「鐘の音」を、人間の平穏や平和を願う心、つまり「真実」の象徴として描いたのだと思います。
常に自他の優劣を明らかにしたがり、あらゆることに懐疑的になってしまう人間社会に対し、アンデルセンは時代を超えて警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。
この本のもう一つの楽しみ方
フルーツフルイングリッシュの英日翻訳家デビュー講座Liteでは英語の短編をテキストに、受講者様それぞれが作品をまるまる一人で翻訳します。二回の添削を受け、仕上げた翻訳作品のなかから公式アワード金賞を受賞すると、英日対訳本が発売されます。
この対訳本は見開きで左ページが英語の原書、右ページが日本語の翻訳作品となっていますので、原書をご自身で翻訳したものと対訳本の和訳とを対比してみるのも良いですし、英文読解のトレーニングに和訳を活用することもできます。
こちらの対訳本には、特典として英文読解力向上のための手引書がついてきます。手引書には原書のスタイルに沿った読解のコツとワークシート、Glossary(語録集)などが載っています。あなたなりの英語学習にぜひお役立てください。
購入者特典
原作は童話ですので、語りが魅力となっているストーリーです。読んでおもしろい文章を書くための手引書、『読者の想像力をかき立てるテクニックを読解&分析 ストーリーを豊かに彩るプロの文章力・表現力を探れ!』付きです。
読んでおもしろい文章に欠かせない要素に、読者の想像力をかき立てることがあります。まるでその場にいるかのような感覚をどうやって読者に与えるのでしょうか?
実は、すべてを詳しく描写すれば良いというものではありません。必要最低限の情報だけを与え、あとは読者に想像させるというテクニックが使えます。このストーリーで実際にそのテクニックがどう使われているか、例をあげながら解説していきますよ。
『読者の想像力をかき立てるテクニックを読解&分析 ストーリーを豊かに彩るプロの文章力・表現力を探れ!』のナビゲートでその技術を盗めば、これから英語の書籍を読むときに著者の工夫に気がつくようになり、読書が一層楽しくなることでしょう。そして、あなたの英作文にもきっと役立つでしょう。
訳者紹介
木村恵美
中学・高校の英語教師として、30年余り勤務。定年退職まで10年を切ったところで、教える以外の形で英語と関りたいと思い、翻訳の勉強を始める。
これまでの読書では味わえなかった、原作の世界に浸りきる 恍惚感や、原文にぴったりな日本語を見つけ出したときの高揚感の虜となっている。今後も更に翻訳の勉強を進め、文芸作品にとどまらず、十代の子供たち向けの啓発本などにも挑戦したいと考えている。
書籍情報
- タイトル
- The Bell(対訳版)
- 邦題
- 不思議な鐘の音
- 著者
- Andersen’s Fairy Tales
- 訳者
- 木村恵美
- ジャンル
- 童話
- ページ数
- 24ページ
- ISBN
- 978-4-9912118-8-1 C0097
- 価格
- 定価990円<税込>