あらすじ

ダーシー・ロックは14歳、スポーツが得意で聡明な少女。 前作で大けがを負ったダーシーは、祖父から地中海クルーズをプレゼントされるが、それは彼の策略だった。米国大統領のお騒がせ娘シェリーを密かに監視させるのが真の目的だ。 カイロから砂漠ツアーに出かけた一行が、砂漠のウオーキングからキャンプに戻ると状況は一変。テロ組織の集団が現れて… またも命の危険にさらされるダーシー、今度は砂漠で大暴れ!

登場人物紹介

ダーシー・ロック

14歳のスポーツが得意な女の子。両親ともにスパイ。

シェリー・モリス

やんちゃなアメリカ大統領の末娘。17歳。ダーシーに悪影響を与えるようでいて、いいお姉さんぶりをみせることも。

ジョン・リー

フレッシュ・スタート・プログラムに参加している、ニューヨーク出身の少年。

スティンゴ

前作でダーシーのボディーガードに任命されたSAS隊員。ダーシーにとってはお兄さん的存在?

この本の楽しみ方・魅力

Empty Quater の魅力をたくさん知り尽くした共同翻訳者のみなさんに、
この本の楽しみ方を教えてもらいました!

  • 祖父も両親もスパイだったことを知り怒りを覚えたダーシーは、家族を信じることができないまま事件に巻き込まれ、家族とも離れ離れになってしまう。ダーシーの運命だけでなく、家族のあり方にも注目です。

    坪 明日香

  • 翻訳家を目指す人には魅力のある教材になるでしょう。 英語本と翻訳本のペア本はなかなか手に入れにくいものです。英語原文と訳本を見比べ読み進めると、読者の訳と訳者の訳と比較することが出来ることで、自分の今後の英語訳手法には大いに参考になります。通常翻訳本は1人による訳文が掲載され、日本語訳そのものにどうしても一つだけの訳し癖が目立ちます。しかし、今回は数人による訳で出来ているので、色々な参考になる訳法が章ごとに巡り合えるかも知れません。翻訳家を目指す人は是非、色々な訳法に触れてみてください。

    上田 善彦

  • 子供でもなく大人でもない。そんな揺れ動く心を持ちながら、両親との関係や友情に悩む姿や、どんな困難にも勇敢に立ち向かっていくダーシーがとても魅力的。読んでいるだけで元気がもらえます。

    KKYY

  • 主人公ダーシーの人との関わり方を模索する様子に注目してほしいです。思春期真っただ中のダーシーが両親との関係やルールに縛られずに振る舞う様子など、ティーンエイジャーらしい考え方や行動に共感したり懐かしく感じながら、主人公と一緒に冒険に出発してみてください。

    松井 千帆

  • 読みながら、この本に出てくる地名を地図で確認し、エジプトの観光名所となっている場所に関しては、写真や資料をみると、各場面を想像することができて楽しいと思います。特にダーシーが脱出したエジプトとリビアの境の「死の砂漠(Empty Quater)」についてはスマホの地図アプリGoogle Earthの写真などで確認すると、ダーシーの心情が一層理解できると思います。

    佐藤まゆみ

ブックレビュー

"ダーシーの冒険の第2弾は、地中海へのクルーズ船と砂漠が舞台! 第1弾ではさえないパパと、おしゃれとショッピング命のママが実はスパイで、任務中に行方不明になったパパを救いだすため、爆発事故で大けがをしたダーシーだったが、今回は友達は拉致され、自分自身も砂漠でたった一人取り残される大ピンチ!このピンチをどう乗り切るのか今回もはらはらドキドキが止まりません。"

工藤 美樹 さん
"スパイ一家に生まれ本人も知らぬ間にその世界へ足を踏み込んでいた14歳の少女ダーシー・ロックの冒険である。ダーシーは、祖父の策略によりアメリカ大統領のやんちゃ娘の監視役にされたことで様々な困難に巻き込まれるが、その都度、天性の才能と強い精神力、仲間の支えで乗り越えていく。スリル満点の展開と個性に富んだ登場人物が想像力をかき立て、まるで自分がその一員になったかのように一気に読ませる。どの年代の方にも楽しめるメッセージ性の強いエンターテインメントだと思います。"
みき さん
"久しぶりに読書の感動に飢えている人にはお勧めの小説です。特に主役のダーシーがテロリストからの罰として砂漠に1人で置き去りにされている。砂漠でダーシーが生きのびるのに残された時間は多分1〜2日しかない。祖父のクリストファーのトリックにより下された命令でついに、英国特殊部隊はダーシーの救出に向かう。救出は間に合うのか・・・。救出に至る場面は最大の感動のシーンです。一度読む価値はあります。 元来10歳代の読者をターゲットとして書かれた冒険小説。 世界の状況―英国・米国の関係、中近東と西側諸国との根深い地政学的リスク、実在の政治家名を想像させる様な登場人物のネーミングなどを工夫して、若い読者にも興味をもってこれらを理解してもらえるように、ストーリーの背景に織り交ぜて、ダーシーの冒険の話を進めて行く。冒険小説としての面白さに加え、ちょっとした世界政治体制の簡単なテキストとしての一面も醸し出ています。 面白さは全ての個所で読者を夢中にさせます。"
上田 善彦 さん
"この本に出て来る主人公はイギリス人で、CIAとMI6で活動するスパイを両親に持ちます。こう言うと、遠い海の向こうの世界に住む、自分とは関係のない人間の話だと思うかもしれません。たしかにこのお話はフィクションで現実ではありませんが、主人公はごく普通の少女です。異性に心をときめかせ、両親との関係に悩む姿は、日本人の若者となんの違いもありません。どうぞ主人公のダーシーになった気持ちで読んでみてください。そしてダーシーがピンチに陥った時、自分だったらどうするだろうと考えてみてください。困難を乗り越えるダーシーの姿がきっと悩めるあなたの手助けになってくれるはずです。英文学初心者でもスパイ小説初心者でも楽しく読める内容です。"
山本 静香 さん

"14歳の女の子、ダーシー・ロックが大人顔負けのスパイとして大活躍するシリーズ第二弾。前作ラストで爆発に巻き込まれて負った大けがの治療中から物語はスタートします。両親の仕事のせいで、ひとりで参加したクルーズ旅行でも偽名を使わなければならず、親への不信感が隠せないダーシー。そのクルーズ船にアメリカ大統領の末娘シェリー・モリスも参加していることで、テロリスト集団に襲われ、シェリーと一緒に人質になってしまったダーシーは実は本人は知らずにシェリーを観察するスパイにさせられていたことがわかり、死の砂漠に手足を縛られ、ひとり置き去りにされてしまいます。しかしダーシーが本領を発揮するのはここからです。絶体絶命の死の瀬戸際からの脱出、ダーシーの生存を伏せておきたいアメリカ政府からの逃亡、テロを阻止するための大人顔負けの機転と勇気ある行動にまさに手に汗を握りながら最後まで一気に読み進みました。"

沢木 ちひろ さん

"前作で爆発に巻き込まれ心身の傷がまだ癒えぬダーシーに、またもや危機が降りかかる。窮地に陥ったダーシーは……。壮大なスケールで激しく展開するストーリーに引き込まれ、読み始めたらやめられない。登場人物が多種多彩で、中には超VIPも。作者の実体験や綿密な調査がこの作品を説得力のあるものにしていると思う。実際の社会情勢にも関心を向けたくなる。ダーシーの心情描写が見事で、気持ちの揺らぎが伝わってくる。こじれていた母親との関係が作中で修復できてほっとした。"

長坂 寛子 さん

"親の本当の職業を知ったときの心の葛藤、自分が希望しないのに、流れていく人生。その人生を受け止め、その中で一生懸命生きようともがく。友達を助けるために一生懸命になる。この前向きな姿勢に感銘しました。"

kaerunoko さん

"前作Ring Masterを読んでいなくても、Empty Quaterからダーシーたちの世界にはまります。ハラハラドキドキするストーリーも十分楽しいですし、14歳という難しい年頃の女の子が主人公ならではの親や友人、周囲の人々との関わりを読んでいくのも楽しいです。何よりも主人公ダーシーの活躍にワクワクしました。"

松井 千帆 さん

"諜報員を両親に持つ14歳の少女ダーシーが、知らないうちに「スパイ」に仕立て上げられ、事件に巻き込まれ、「死の砂漠」に置き去りにされる。読み始めた段階では、このような展開になるとは想像もつかず、わくわくしながら読み進めることができるストーリーです。ダーシーの冒険の旅に、一緒にでかけてみませんか?"

佐藤まゆみ さん

"前作に引き続き、またも世界を揺るがす大事件に巻き込まれてしまったダーシー。持ち前の運動神経と優しさを武器に、クルーズ船と砂漠を舞台にした戦いに挑みます。"

坪 明日香 さん

"初めから終わりまで、ドキドキハラハラな展開が続き、テンポよく進む物語。冒険、友情、家族との絆など深い内容で、児童文学と言って侮れません!"

KKYY さん

"ダーシー・ロック。大人を遣り込める「したたかさ」と「行動力」。痛快!"

堤 惠理子 さん

"主人公のダーシーが辛い状況にあっても、勇気と抜群の運動神経で前進しようとする様子に引き込まれていきます。"

田 夏希 さん

"目を離せない展開にハラハラ、ドキドキ!ピンチなんか自分でぶっ飛ばしちゃうダーシーって、ホントかっこいい!"

河畑 淑子 さん

著者紹介

Julia Goldingジュリア・ゴールディング

イギリスの作家。ロンドン生まれ。

ケンブリッジ大学に学んだ後、英国外務省に入り、ポーランドに着任。 外務省を辞めてからはオックスフォード大学でイギリスロマン派文学を学ぶ。 その後、オクスファム※ロビイストとして、紛争地帯に住む市民への影響を減らすべく努める。三人の子の母親でもあるジュリアは現在オックスフォード在住。

彼女の最初の本となる"The Diamond of Drury Lane"はネスレ児童文学賞、ウォーターストーンズ児童文学賞を受賞し、コスタ児童文学賞にもノミネートされた。

※オクスファム - 貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を90カ国以上で展開している国際協力団体

著者 Julia Golding から日本の皆さんへメッセージ

Empty Quarter

Dear Readers,
Have you ever wondered what would be the most extreme survival experience you can imagine? This is the kind of question adventure writers like me ponder over their morning cup of coffee as they plot the next crises for their main characters. We can be very cruel to our creations - but writers know that it is only when you strike a match that it will flame. Characters need adversity in order to show us what they are made of - and keep us on the edge of our seats too!

In the first book, Ringmaster, Darcie had to survive lions and human predators in Kenya, so I had to raise the bar a few centimetres for her next high jump! I decided that I would find being stranded in the Empty Quarter the greatest challenge I could imagine. It is a term given to a large area of desert which is, as the name suggests, pretty much ‘empty' of life. The part that Darcie goes to is called the White Desert and is found in Egypt. What makes it even more remarkable than the sand dunes we usually associate with the desert are its chalk rock formations. The scouring wind has made the stone into wonderful creamy dollops and twisted pillars - a landscape that looks like it has been made for a science fiction filmset. If you don’t already know about this place, it is well worth looking up and feasting your eyes on this beautiful but perilous place.

However, a spy adventure story is not only about exciting settings - it is about the mind games, betrayals and life-threatening danger the characters face. Darcie does not know who to trust. An important new character, a friendly enemy to Darcie, is Shirley, the daughter of my (fictional) President of the United States. With Shirley onboard this cruise for problem rich kids, the stakes are very high. In Shirley’s company, Darcie is a target for far more than ordinary high school bullying. Anything they do, any mistakes they make, become an international incident attracting the wrong sort of attention from the world’s media.

You’ll find some of your favourite characters also get dragged into the mess, from Stingo, her soldier-friend from Ringmaster, to her parents and her wily old spymaster grandfather. Darcie sometimes feels like she doesn’t catch a break - but we wouldn’t want her to, would we? Where the fun and adventure in that! So fasten your safety belts for the next instalment of Darcie’s story. It’s going to be a roller coaster ride!

Julia

翻訳者について

Empty Quarter 日本語訳版は、フルーツフルイングリッシュ「翻訳本出版プロジェクト」に参加された45名の共同翻訳となっています。

原書を何度も読んで理解するところからスタートし、たくさんのステップを経て生み出された、皆さまの努力が詰まった一冊です。

翻訳版イラスト:石川 武 / Prism Art Studio
  • 東 千華
  • 有井 みのる
  • Ayami
  • 石田 幸枝
  • 上田 善彦
  • 奥山 啓子
  • 尾坂 知江子
  • 小野 恵子
  • 笠谷 俊文
  • 加藤 麻理
  • KANA
  • 金澤 孝子
  • 蒲 貞行
  • 河畑 淑子
  • 北垣 かおる
  • 木原 由紀子
  • 工藤 美樹
  • 佐藤 まゆみ
  • 沢木 ちひろ
  • 鹿間 朋子
  • 清水 広美
  • 須永 智美
  • 田 夏希
  • 田中 一代
  • 塚本 智子
  • 堤 惠理子
  • 坪 明日香
  • 中 英一
  • 長坂 寛子
  • 西岡 宏子
  • 尾藤 和加子
  • 平岡 千春
  • 蕗澤 恵美
  • 藤原 嘉奈子
  • 布上 美紀子
  • 堀内 健太
  • 益 圀三
  • 松井 千帆
  • 松田 あゆみ
  • 松原 友美子
  • 森脇 由希子
  • 山本 静香
  • 横山 栄二
  • 横山 かよ
  • 吉田 和広

※順不同

書籍情報

タイトル
Empty Quarter(日本語版)
邦題
ダーシー・ロックの冒険 〜死の砂漠エンプティ・クォーターを脱出せよ〜
著者
Julia Golding
ジャンル
ヤングアダルト / スパイ・アクション
出版年月日
2020 / 07 / 01
ページ数
未定
サイズ
菊判(150mm x 220mm)
ISBN
978-4-9911441-3-4