プロの翻訳家は必ず下読みします
皆様こんにちは。英日翻訳家デビュー講座インストラクターのK. Yukaです。
今回は、いつもの下読み作業に一手間かけることで翻訳の質をぐっと上げる方法について説明します。
ご存知、下読みは翻訳を効果的に行う上で非常に大切な下準備のうちのひとつです。
翻訳作業を始める前に原文にさっと目を通しておくことで、翻訳作業がより効率的になり、また長い文章を訳しているときにありがちな「翻訳疲れ」を大幅に減らすことができるためです。
事実、プロとして活躍をする翻訳者で、下読みを全くしないでぶっつけ本番状態で翻訳作業に当たろうという人は皆無でしょう。
確かに余計な手間はかかるけれど、少しの時間を投資するだけで翻訳にかかる時間や労力が減り、しかもプロも認める方法だというなら、下読みしない手はないですよね。
そんな感じで、翻訳のウォーミングアップとして大変重要な立ち位置を占める下読みですが、実は、あともう一手間をかけて行うことで、翻訳の品質と効率をさらに高めることができます。
今回はその2つの方法について伝授します!
専門用語の訳語選定をする
翻訳をより効率的かつ高品質にするためにやっておきたい下読みプラスアルファ作業の1番目は、「下読み中に専門用語の訳語選定をすること」です。
というのは、ビジネス系(医療、薬学、工業、マーケティング、IT、特許、金融、法律など)の翻訳では、その業界ならではの専門用語が多く登場するためです。
そうした単語をいちいち調べながら翻訳したら大変です。疲れてしまいますし、何より時間がかかって仕方がありません。
そうした事態を避けるためにも、原文の下読みをする際に専門用語を調べ、どの訳語を使うかをあらかじめ決めておくのがおすすめです。
そしてエクセルシートでもメモ帳でも構わないので、訳語選定できた単語のリストを作っておきましょう。ただ原文を読むだけでなく、このように原文に積極的に関わっていくことで、理解度もぐっと上がります。
原文のおおまかな意味や流れを整理しながら読む
もう1つの方法は、原文の流れを整理しながら下読みを行うことです。ビジネス文書であれ文芸作品であれ、書かれている文章には必ず意味や流れがあり、それぞれの役割を持っています。
そのため、原文の下読みを行う際にも、「この文は結局何を言いたいのか?この段落にはどんな役割があるのか?」と意識していく必要があります。
例えば、文芸翻訳なら、ストーリーのおおまかな流れを整理し、起承転結に整理したり、クライマックスになるシーンや伏線を探したりするのがおすすめです。
そうすれば、訳文の正しい雰囲気や緩急の付け方が自然と分かってくるため、原書とずれない翻訳に近付くことができます。
ビジネス翻訳の場合には起承転結的なものはあまりありませんが、「誰向けの文で、何を伝えようとしているのか」を探るようにしましょう。
例えば、”How to edit photos with this app”とあればこのアプリで写真を編集する方法について述べようとしていることが分かりやすいですし、その後に”Tap the ‘Edit’ button to edit your photos”とあったときに「『編集』ボタンを押して写真を編集してください」などとせず、「写真を編集するには『編集』ボタンを押します」と正しく訳せるようになります。
まとめ
以上、下読みを効果的に行う方法についてでした。
さっと読むだけの下読みも翻訳効率を高めてくれますが、そこでもう一工夫することでさらに正確に訳せるようになります。
「知らなかった」という方は、次回から是非チェックしてみてくださいね!
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学習塾の英語指導や教材作成の経験を持つ講師。現在では英日翻訳も手掛け、日々「ネイティブらしい表現」を目にしています。その経験を生かし、文法面を細かく指導してくれるだけでなくだけでなく、どうしたらネイティブから見ても自然な表現になるのかを丁寧に解説をしてくれます。
座右の銘は「Push myself ever onwards to try new things, and to not be afraid to step outside my comfort zone.」
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