【翻訳家になるには】言葉を学ぶことは、つまり文化を学ぶこと

翻訳家になりたい方のための翻訳講座の講師、K.Yuka先生の記事。

読者の皆様、こんにちは!インストラクターのK. Yukaです。

 

「社会文化力」という翻訳に必要なスキル

突然ですが、翻訳に必要なスキルというと、どんなものが思い浮かぶでしょうか。
まずは語学力ですよね。
英日翻訳なら、与えられた英語原文を正しく理解する能力が
何よりも重視されるのは当然のことです。
ただ、語学力といってもいろいろなスキルに細分化され、
語彙力や読解力、文法力などがそれに含まれます。
こうした広範囲なスキルをすべて含んだのが語学力であり、
翻訳を行う上で非常に大切なマストアイテムとされています。

しかし、翻訳を少しでも始められた方々ならすでにお分かりの通り、
翻訳は語学力だけでできるものではありません。
語学力に加え、ソース言語をターゲット言語の社会的背景に
ぴったり合うように訳文を作っていく、「社会文化力」なるものも必要です。
翻訳のお仕事がソース言語をターゲット言語に置き換えるだけではなかったり、
機械翻訳で訳そうとすると自然ななかなか訳文を作れなかったりするのは、
まさしく言語間の文化的・社会的背景の差異が原因なのです。

 

「About Us」をどう訳す?

例えば、企業のウェブサイトの翻訳をしているとします。
このとき、「About Us」という文言が出てきたら、どのように和訳するのが自然でしょうか。
そのまま直訳するなら「私たちについて」ですね。
でも、「弊社について」ならともかく「私たちについて」という日本語にはなじみがありませんし、
日本語ではそもそも「私たちについて」という表現をあまり使いません。

ここでの正解は、「弊社について」でも「私たちについて」でもなく、
「会社概要」です。
「About Us」が企業についての説明ページであることを判断し、
それに相当する、日本の一般的な企業ホームページでよく使われる表現を考えていけば、
「会社概要」に比較的すぐにたどり着くでしょう。
でも、そうではなく言葉だけ見ていたのでは、
いつまでたっても正解が見つからないかもしれません。

本格的翻訳講座のK.Yuka先生が撮影お写真。もみじ

 

文化の違いを考慮して翻訳する

このように原文を見ていただけではうまく訳せない傾向は、
英日・日英翻訳で特に顕著です。
私自身も、あるマーケティング翻訳プロジェクトに
さまざまなターゲット言語の翻訳者と共に参加し、
翻訳結果を比較してみたときにそれを強く感じました。

日本語以外の翻訳者、特に英語と文法だけでなく
社会的・文化的背景が比較的類似しているヨーロッパ系言語への翻訳では、
原文をそのまま自分の言語に置き換えるだけで翻訳として成立していました。
一方、私が担当した日本語訳では、
ただ訳したのではマーケティング翻訳としては使えなかったため、
語順を変えたりより良い言い回しを考えたりと工夫しなければなりませんでした。
たった3語という短い文章でさえ、です。

また、マーケティング翻訳の場合、
英語圏ではフレンドリーな言い回しが好まれることが多いのですが、
その雰囲気のまま日本語に訳した場合、
日本文化圏では適切なマーケティング文章とは言えません。
日本で好まれる丁寧・フォーマルな言い回しへと
その都度変えていかなくてはならないのです。

 

翻訳では社会や文化への理解が重要

よく、「言葉を学ぶことは、その言語の社会や文化についても
そのまま学ぶことだ」と耳にすることがあります。
翻訳では、言語学習を通じて学んだ社会や文化をさらに深く理解し、
その上で翻訳先の言語の社会・文化に合わせて
表現していくことが求められるでしょう。

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気になる方は是非のぞいてみてくださいね!

 

 

 


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ABOUTこの記事をかいた人

学習塾の英語指導や教材作成の経験を持つ講師。現在では英日翻訳も手掛け、日々「ネイティブらしい表現」を目にしています。その経験を生かし、文法面を細かく指導してくれるだけでなくだけでなく、どうしたらネイティブから見ても自然な表現になるのかを丁寧に解説をしてくれます。 座右の銘は「Push myself ever onwards to try new things, and to not be afraid to step outside my comfort zone.」