ニュージーランドの最大都市オークランド。この街で私がオーペアとして働いていたファミリーでは、毎週木曜日にオーペアが巻き寿司をふるまう「スシナイト」なるものがありました。
日本人の私は、はるか遠くのニュージーランド人の家庭で、日本の伝統料理の作り方を覚えたのです。海外での寿司人気は知っていましたが、一般家庭の夕食に出てくるほどとは。
オークランドの街を歩けば、、
それに、街を歩けば軒を連ねる寿司屋の看板。故郷の料理がこうして愛されていることを誇らしく思います。そんな気持ちで寿司屋に入ると、頭の中のイメージとは異なる、カラフルな何かがショーケースに並んでいます。
引き目に見れば寿司と判別できるのですが、近づいてみると漂う違和感。
そのほとんどは巻き寿司で、奥に追いやられて身を寄せ合う握り寿司のネタはサーモンのみ。握りより幅を利かせているサイドメニューのたこ焼、唐揚げ、春巻きは、串に刺されて売られています。
その隣には、きつね色の衣に包まれたものが。コロッケかな?いや違う、巻き寿司のフライだ!なぜ揚げたのか!?
初見で出てくるとめどない疑問の数々。中でも最大の疑問である、巻き寿司の具に焦点を当ててみます。
Salmon and avocado roll
これをなくして寿司屋を名乗るべからず、ともいえる大定番、サーモンとアボカドです。アボカドのほかに、キュウリやクリームチーズもよく合います。
Teriyaki chicken roll
日本食の定番テリヤキチキンは、巻いても美味しい人気メニュー。チリソースを入れたピリ辛味や、バーベキューソースがかかっているものもあります。
Tuna mayo roll
おにぎりの代表ツナマヨも、海外ではお寿司に入れちゃいます。キュウリやパプリカも一緒に巻いていろどりもバッチリです。
Chicken katsu roll
日本っぽいものを巻いておけばオッケーと思っているのでしょうが、カツの語源は実は英語のcutletにあり、日本でkatsuに形を変えて英語の世界に戻ってきたとは知らないのでしょう。
Vegetarian roll
ベジタリアンのチョイスがあるのは海外らしいですね。気になる中身は、パプリカ、ニンジン、紫キャベツなど、ビタミンカラーの野菜たちが千切りにされて巻かれています。
Inari
甘辛いおあげは、遠い日本に住む母の味を思い出させます。上にこんもり乗っている海藻サラダには目をつぶっておきましょう。白米だけでは物足りないと思ったのか、鮮やかな黄色のターメリックライス、黒米を炊き込んだ紫色の酢飯もあり、カラフルな具材とのグラデーションはお見事です。
オークランドの街でお寿司を買ってみよう
では、実際に購入してみましょう。
ショーケースの前には、日本でもお惣菜などを入れる、透明のプラスチックケースが重ねられており、トングも置いてあります。それらを手に取り、好きな寿司を入れるセルフ形式です。
上手に詰めなければ、お隣のマヨネーズやチリソースがくっつき合ってしまうのでご注意ください。
詰め終わったらレジへ向かいます。
レジでは、Wasabi and ginger?(わさびとガリは入れる?)と聞かれます。
加減を知らないお店の人は、気前よく大量に入れてくれることでしょう。
Would you like Miso soup?(味噌汁もどう?)と勧められることもあります。出てきた味噌汁は、コーヒーのテイクアウェイカップに入っていますので、驚かないように。
このように、購入時もツッコミどころ満載なのです。かわった寿司の背景には、多くのオーナーが実は日本人ではない、というところにあるのだと推測しています。固定観念にとらわれず、ローカルの人にも好まれる味を自由に作り上げててきたからこその作品たち。
もうただの寿司ではありません。海を越えて進化を遂げた「ハイブリッドSushi」とでも呼びましょうか。
オークランドに来た際はぜひ寿司屋に寄って、日本とのギャップを楽しんでみて下さいね!
ニュージーランド在住13年、台湾出身の夫、7歳の娘と5歳の息子がいます。家庭の中には英語、日本語、中国語(北京語)、台湾語があふれており、それぞれの故郷の文化に、ニュージーランドの英語圏の文化が入り混ざった、まさに国際色豊かな家庭の専業主婦をしています。
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