みなさん、こんにちは。イタリア在住のロベルトです。
See you later!
シンプルでよく耳にするこの言葉。皆さんも外国人の友達に「またね」という時によく使いますよね。
この短いメッセージが、懲役20年以上の罪の証拠にされた...そんな事件が以前イタリアでありました。
逮捕された容疑者は英語ネイティブ
もう十数年前の出来事です。イタリアの大学に通っていたイギリス人女子留学生が殺害されました。
容疑者として逮捕されたのは、ルームメイトで第1発見者のアメリカ人女子留学生、そのボーイフレンドのイタリア人男子大学生、そしてイタリアで育った移民の若い男性の3人でした。
移民の男性は「自分がトイレに行っている間に騒がしい音がし、彼女は殺害されていた」と主張しました。
しかし、この男性は、通常より罪は軽くなるけれども上訴できない裁判(というものがイタリアにはあります)を選択したため、無罪を主張しましたが、殺人(共犯)の罪で有罪となりました。
一方、イタリア人男性とアメリカ人女性は、通常の裁判を選択。当初は殺人で有罪となりましたが、上訴して最終的に無罪になりました。
「See you later!」が有罪の決め手の一つに
アメリカ人女性は無罪で自由の身になった後で、彼女が送ったメッセージ「See you later」を警察が誤訳し、それが有罪判決の根拠の一つになったと明かしました。
彼女の話によると、イタリアの警察は「See you later」を「またあとで(すぐに)会おうね」という意味だと解釈したとのこと。
確かに、ある辞書では
used for saying goodbye to someone who you know when you expect to see them again soon, especially later the same day
と定義しています。
しかし、「See you later」は、ただ単純に一般的な別れの言葉「good bye」と同じ意味でもあります。
このlaterは、数日後かもしれないし、1週間後かもしれない。1年後かもしれないし、10年後かもしれない。
例えば、犬の散歩中にちょっとした楽しい会話を交わしただけの見知らぬ人にも「それじゃぁ、さようなら」の意味として「See you later」と言うことができます。
殺人の罪で有罪とされたこのアメリカ人女性は、「good bye」の意味として使った「See you later」を、イタリアの警察は「またあとですぐに会おうね」の意味で解釈した
と語っています。
言葉一つの解釈の違いが人生を大きく変えることも
ちょっと重い話になってしまいましたね。ごめんなさい!
でもこのアメリカ人女性の話は、通訳と翻訳を仕事にしている私にとって、とても強く心に残るものでした。
翻訳者(通訳者)になるということは、「文法を理解し、言葉そのものの意味が分かる」だけでは不十分で、文化的な理解や実際に使われている意味を知ることも、とても大事なことです。
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イタリア在住。3言語の通訳・翻訳家。最近は特に、十数年住んだ日本が懐かしくてたまりません。
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