【翻訳家の挑戦】俳句ド素人の翻訳家 句会へ その3

いよいよ始まります。まずは選句!

みなさん こんにちは!
英日翻訳講師のMisaです。
前々回のブログから、俳句ド素人のわたしが初めて句会に参加したときのエピソードをご紹介しています。今回もその続きで、題して「添削編」です。
前々回前回のブログ記事

生まれて初めて作った俳句を手に、俳句歴ン十年の達人たちが集まる句会に無謀にも参加したわたし。
みなさんの個性が光る素晴らしい句に感動し、また、句会の先生と代表に、自分が作った句を添削してもらえると聞いて入会を決めました。
それから1か月後、添削結果が返ってくる日がやって来て――

 

目が点に……

きっと、赤がいっぱい入ってるんだろうな……と、ドキドキしながら添削結果を見てみると――
えっ……これだけ~?! 先生の添削は、拍子抜けするほどシンプル。思わず目が点になりました~。
訂正が必要なところに線が引かれているのと、旧仮名遣いにした方がいいところは旧仮名遣いに直してくれているだけ。
なぜ訂正が必要なのか、とか、おススメの表現はいっさい書かれていません。

代表の添削は、アドバイスを2つ書いてくれているものの、これまたとってもシンプルで、先生の添削とほぼ同じ。

どちらもまさに〝必要最低限〟なんです。

「俳句と同じように、添削も究極に簡潔なんか~!」と思わず納得。
……いえ、納得している場合ではありません。
なぜ線が引かれているのか、自分で考えてその理由をつかまないと!
でも、線が引かれているところを繰り返し読んでみても、答えはわかりません。
何か共通していることはないかと必死で考えていると、ますますわからなくなってきて……。

Misa先生が受け取った、俳句の添削

 

わたしの添削スタイルって……

「これが、背中を見て学べ!の精神か? さすが日本文化!」といつのまにかまた、添削のスタイルに意識が向いていました。
すると今度は、自分の添削スタイルが気になってきて……。
わたしは英日翻訳講座で受講生のみなさんの翻訳答案を添削しているのですが、「わたしの添削スタイルって、あまりにも手取り足取りではないのか……」と不安になってきたのです。

わたしの添削スタイルは、あれっ?と引っかかったところは徹底的に線を入れ、その理由をきっちり書き込みます。
また、おススメの表現も記した方が良いと判断した場合は、例として記します。
これまでわたしの添削を受けた受講生の方ならおそらく、「うわっ、みさ先生、チェックこまかい~」と感じたことがおありなのではと思います。
あまりにもがっつりチェックしてしまって、それこそ、赤がいっぱい入るので、なんだか申しわけなくなり、「姑のようにがっつりチェックしました~」などと、ジョークにもならない苦し紛れのコメントを残したりしているんです。

 

受講生の〝気づく力〟にゆだねる

「なぜ訂正する必要があるのか、その理由を〝自分で〟考えてつかむ」
わたしは自分の句の添削結果を見て考えているうちに、自分の添削スタイルに欠けていた指導法に気がつきました。
「自分で自分の弱点を見つけるプロセスが、大きな学びになる。受講生の〝気づく力〟を信じてゆだねることも、時には必要だ」と。

講師が逐一、「こうこうこういう理由で、ここは直した方がいいですよ」と指摘していると、受講生が自分で自分の弱点に気づかなくなるおそれがあります。
だからこれからは、受講生の学習歴や実力をしっかりと把握したうえで、「訂正する必要があるところに、線を入れるだけにとどめる」という方法を積極的に取り入れていこうと、わたしは心に決めました。

 

自分の弱点は見つかった?

じゃあ、「自分の句の弱点はわかったの?」って?!
それが……なんとか、わかったような気がするのですが……。
これがなんと、わたしが翻訳答案の添削時によく書いているコメントとよく似ているんです――(次回に続く)

さてここで、今の季節にぴったりの小林一茶の句をご紹介しましょう!
今回は、僭越ながらわたしの英訳を添えて。

名月を取ってくれろと泣く子かな

Full moon night  “Get that moon for me!”  A child insists.

 

 

 

 


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翻訳家のたまご

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ABOUTこの記事をかいた人

兵庫県出身。大阪女学院短期大学英語科、Gwinnett Technical Institute Travel Management学科卒業。電機会社勤務、英語塾経営・運営を経て、翻訳業に従事。現在、児童英語講師と翻訳通信講座添削トレーナーも務める。 翻訳実績(和訳):ノンフィクション(人文系)、コミック(英文学対訳シリーズ)、雑誌(クラフト系)、映画関連資料(公式サイト、劇場用パンフレット、予告編、特典映像、プレスリリースなど) 『趣味は洋画と洋楽(〝あの〟映画を観てからQueenに夢中!)鑑賞、阪神タイガースの応援(田淵・掛布時代からのファン! わっ、古ぃ~)。日課は20分程度のウォーキングとストレッチで、運動不足解消のため両手両足を大きく振って歩くので、すれちがう人から「お! がんばっとるな!」と声をかけてもらっています(笑)。そして夜はお酒のアテづくりと「家呑み」。毎晩8時以降は居酒屋の女将に変身します!』