みなさん こんにちは!
英日翻訳講師のMisaです。
わたしの〝俳句体当たりブログ〟(←あれっ、いつのまにそんな名前が~?)、今回で最終回です!
(これまでのブログ記事はこちら→その1、その2、その3のブログ記事))
生まれて初めて作った俳句を手に、俳句の達人たちが集まる句会に無謀にも参加したわたし。
そのあと、句会の代表と先生に拙句を添削していただくと、目が点になるほどシンプルな添削結果!
訂正が必要なところに線が引かれているだけで、なぜ訂正が必要なのか、具体的な理由は書かれていません。
代表の添削にいたっては、句の頭に〝×〟印が付いているものも!
そうです、この句は〝ダメ〟という意味。トホホ……(泣)
弱点が見つかった!
線が引かれているところや×が付いた句を何度も読み、そして、達人たちの句を何度も拝読するうちに――わたしはあることに気がつきました!
それは、わたしの句は「説明している」ということ。
わずか17音の中に、動詞や形容詞がでーんと居座っていて、ゴタゴタして説明的だと思えてきたんです。
例を挙げてみます(拙句で申しわけありません~)。
- 京もなか友の気うれし新茶買う
- ×入梅の報あわて見にいく淡いガク
(「ガク」は「アジサイの花びら」の意。アジサイの色が変化する部分は、実は「花びら」ではなく、「萼(ガク)」というそうです)
- は、友だちにとってもおいしそうな京もなかをいただき、そのときの気持ちをストレートに表現したものです。
- は、テレビの天気予報で梅雨入りしたと言っていたので、アジサイが淡い色からじょじょに濃くなっていくのを楽しむために、あわてて近所の庭のアジサイを見にいったことを詠んだのですが……。
達人たちの句は〝瞬間〟の描写
達人たちの句を拝読していると、どの句も、「自分がハッと思った〝瞬間〟を描写」しているだけのように思えてきました。
気持ちを表す形容詞が入っていなくても、そのときの詠み手の気持ちが自然と伝わってくるんです。
だから、①の「友の気うれし」は明らかに説明的です。
②は「自分がハッと思った〝瞬間〟の描写」ではなく、「自分の行動の説明」になっていることに気がつきました。
達人たちの句には、「自分の動作」をぽんとシンプルに詠んでいる句はあっても、②のように「自分の行動の説明」になっている句はまったくありません。
あれっ?! これって……
「そうか! 説明的になったらあかんのか!」 自分の弱点が見えたとき、わたしは思わずそう口に出していました!
すると、「あれっ?! これって、わたしが添削のとき書いているコメントと同じやん!」とまたもや、英日翻訳の添削という自分の仕事に意識が向きました。
しかも今度は、「共通点」が見つかったのです!
受講生の方々の翻訳答案には、特に学習を始めて間もない方の答案には、「説明的な訳文」がよく見られます。
どこまで〝ざっくりと〟訳していいのか、さじ加減がまだつかめていないので、直訳調になってしまい、説明的な訳文になっているんです。
これも例を挙げてみますね。
What’s the point of success if you have no one to share it with?
(設定:職場で、昇進が決まった男性社員に向かって、ライバル社員がこう言っている)
そのまま訳すと→
●「成功を分かち合う相手がいないのなら、成功にどんな意味があるのか」
うーーーん、格言集に出てくるような、硬くて説明的な文になっていますよね。
もしわたしがこの訳文を添削するなら、「直訳調で、説明的になっています。職場での会話なので、もっとカジュアルな表現にしましょう!」とコメントを入れると思います。
ではそのコメントにしたがうと→
●「出世しても、喜んでくれる家族や友達がいなけりゃな」
ぐらいが適切かと思います。
こうして思いがけず、俳句と英日翻訳の〝共通点〟が見つかり、がぜん、意欲がわいてきたわたし!
「そっか! 俳句も、説明的になったらあかんのや!」と、まるで翻訳学習を始めたころの自分に戻ったようなフレッシュな気持ちで、日々、俳句作りに勤しんでいます!
みなさん、4回にもわたってこの〝俳句体当たりブログ〟におつきあいいただき、どうもありがとうございました!
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兵庫県出身。大阪女学院短期大学英語科、Gwinnett Technical Institute Travel Management学科卒業。電機会社勤務、英語塾経営・運営を経て、翻訳業に従事。現在、児童英語講師と翻訳通信講座添削トレーナーも務める。
翻訳実績(和訳):ノンフィクション(人文系)、コミック(英文学対訳シリーズ)、雑誌(クラフト系)、映画関連資料(公式サイト、劇場用パンフレット、予告編、特典映像、プレスリリースなど)
『趣味は洋画と洋楽(〝あの〟映画を観てからQueenに夢中!)鑑賞、阪神タイガースの応援(田淵・掛布時代からのファン! わっ、古ぃ~)。日課は20分程度のウォーキングとストレッチで、運動不足解消のため両手両足を大きく振って歩くので、すれちがう人から「お! がんばっとるな!」と声をかけてもらっています(笑)。そして夜はお酒のアテづくりと「家呑み」。毎晩8時以降は居酒屋の女将に変身します!』
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