翻訳家の俳句挑戦!俳句体当たりブログから1年後

翻訳家の俳句挑戦!俳句体当たりブログから1年後

こんにちは!

英日翻訳講師のMisaです。

 

ちょうど1年前、わたしはこの場に「俳句体当たりブログ」(4回シリーズ)を投稿しました。覚えてくれている方もおられると思いますが、俳句ド素人のわたしが、無謀にもいきなり「句会」に参加した一部始終や、句会の代表に自分の句を添削してもらった経験を書きました。

さて今回から、「俳句体当たりブログ ~1年後~」と題し、この1年をざっくりと振り返ってみます。

(これまでのブログ記事はこちら→その1その2その3その4最終回

 

昨年の6月から俳句を習いはじめたわたし。

毎月句会に参加して、拙句をご披露しながら諸先輩方の素晴らしい句を拝読。

句会の代表に拙句を添削してもらい、どうすれば表現力や推敲力がアップするのか必死で探りつつ、俳句誌への投稿も毎月おこなうようになり――いつしか、俳句作りにすっかりハマっていました!

 

「説明的な句」から抜け出せず

日常において、ハッ!としたことを句に詠むことがおもしろく、また、そのときの驚きや感動が、句を読んでくれた人に伝わって共感してもらえることが、とってもうれしくて!

でもド素人なので、なかなかうまく表現できなくて……。

習いはじめた当初は、自分が言いたいことを詰め込み過ぎたり、言いたいことのピントがずれていたりで、五・七・五にうまくまとめられませんでした。

 

また、まとめられた!と思っても、添削結果を見ると、「×」が入っていて――。わたしの句はやはり、「説明的」になってしまっていたんです。

以前のブログでも書きましたが、英語のセリフの和訳と同様に、俳句も「説明的」になってはいけないんです。わたしの句を例に挙げますと――

 

  • 洋風の 家に干柿 微笑まし

さて、どうでしょうか。説明的ですよね?

「微笑まし」が余計です(笑)。これでは俳句というより、ただの「感想」です。ではもう一句――

 

  • 秋の蝶 草にとまりて 風しのぎ

この句は、自分では「説明」にならないようにしっかりと考えて作成したのですが、句会の代表の方に添削してもらうと、やはり説明的だったようで、句全体に線が引かれていました。

そして、語順を入れ替えて、修正句を書いてくれていたんです。

それがなんと、見違えるような良い句になっていたんです!

以下です!

 

  • 風しのぎ 草にとまりて 秋の蝶

 

「瞬間を切り取れ!」

 

  • 風しのぎ 草にとまりて 秋の蝶

この句は、まさに「瞬間」を切り取っていますよね! 一方、わたしの句は説明的で、「報告」のようになっています。

語順を入れ替えるだけで、こんなに俳句らしくなる! この修正句を見たとき、なんだか魔法にかかったような感じがして、しばらく呆然としました。

そして、「そっか~! 風をしのいで、草にとまった、秋の蝶。うん、瞬間を切り取ってる!」と思いながらも、「瞬間を切り取るって、やっぱりすごく難しいな」とあらためて実感しました。

 

そして、数カ月後――。

なんとこの句は、俳句誌に掲載されたんです!

また、その俳句誌の「句の鑑賞」コーナーでも取り上げてもらえたんです!

もうもう、うれしくって!!

 

「でも、修正をしてもらっての掲載やもんな……。ああ、自分でうまく、瞬間を切り取れるようになりたいなぁ」と、好きなことにはとことんマジメなわたしは、いつしか反省モードに……。

それからも句を詠むたびに、「瞬間を切り取れ! 説明や報告になったらあかん!」と自分に言い聞かせながら、語順をいじったり、季語の位置を工夫したりして模索していくのですが、なかなかコツがつかめなくて……。

 

英語ネイティブの友だちのメッセージ

そんなとき、英語ネイティブの友だちとSNSでやりとりしていて、俳句(Haiku!)を始めたことを話し、表現に苦労していると伝えると――。

その友だちがこんなメッセージをくれたんです。

 

“Freeze the moment!”

 

このメッセージを見た瞬間、なんだか急に「瞬間を切り取る」ということが、感覚で感じられたような気がしました!

このメッセージは直訳すると、「この瞬間を止めろ!」とか「この時間よ、止まれ!」となりますよね。

こなれた訳にするのなら、「この一瞬!」「一瞬を逃すな!」「このままで!」など、シチュエーションに応じてさまざまに訳せます。

 

このfreezeという動詞には、「止まる」や「~を止める」の他に、「~を凍らせる」「~を凍結させる」「~を冷凍保存する」などの意味もありますよね。

この「~を凍らせる」という表現が、そしてこの表現の持つニュアンスが、わたしの感覚にストレートに訴えてきたような気がして!

それ以来、自分がハッとした瞬間を頭の中で“Freeze the moment!”して、メモに書き留め、俳句を作るようになったんです。

 

すると、「瞬間を切り取る」コツがつかめたような気がして、五七五にまとめやすくなってきたんです。

そうして句をいくつも作っていき、添削結果を大切にして勉強を重ねていくうちに、初めて句会に参加してちょうど1年経ったころ、とってもうれしいことが起こったんです!(次回に続く)

 

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ABOUTこの記事をかいた人

兵庫県出身。大阪女学院短期大学英語科、Gwinnett Technical Institute Travel Management学科卒業。電機会社勤務、英語塾経営・運営を経て、翻訳業に従事。現在、児童英語講師と翻訳通信講座添削トレーナーも務める。 翻訳実績(和訳):ノンフィクション(人文系)、コミック(英文学対訳シリーズ)、雑誌(クラフト系)、映画関連資料(公式サイト、劇場用パンフレット、予告編、特典映像、プレスリリースなど) 『趣味は洋画と洋楽(〝あの〟映画を観てからQueenに夢中!)鑑賞、阪神タイガースの応援(田淵・掛布時代からのファン! わっ、古ぃ~)。日課は20分程度のウォーキングとストレッチで、運動不足解消のため両手両足を大きく振って歩くので、すれちがう人から「お! がんばっとるな!」と声をかけてもらっています(笑)。そして夜はお酒のアテづくりと「家呑み」。毎晩8時以降は居酒屋の女将に変身します!』