【翻訳家の暮らし】電車の行き先を教えただけなのに

NY 駅

こんにちは! ニューヨークシティよりMihokoです。

ニューヨークでの日常で見つけた、英語学習や翻訳学習につながるちょっとしたトピックのお届けです。

 

「この電車、OOO駅に行きますか?」

 

今日は知らない人に話しかけられたエピソード2、ちょっと不思議な(?)体験です。

 

地下鉄の駅や車内で、よく交わされる会話はこれです。

「この電車、OOO駅に行きますか?」

 

英語でなんと表現しますか?

 

“Does this (train) go to OOO?”

難しく考えない!一番シンプルで、急いでいる時に使えます。

 

時間があってもっと丁寧に言いたい時にはこんな感じです。

“Excuse me. Do you know if this goes to OOO?”

“Excuse me. Could you tell me what/which line/train goes to OOO?”

 

もっとも急いでるシ チュエーションなら

 

すごいのは、電車が駅に停車してドアが開いた瞬間、車内に首だけ突っ込んで、「これ、OOO駅に行く?」と聞く人。(”OOO?”と駅名だけで聞く人もいます!)

そういう急いでいるシチュエーションだと、答えられる人が  “Yes!”「行くよ」とか “No!”「行かないよ」と答えてあげる。

親切な人だと「それはホームの反対側!」とかって追加情報もつけてあげる感じ。

事前に自分で調べとけよ!とか突っ込まない。わりとみんなそんな感じだから。(苦笑)

 

そんな短いけど生き生きとしたやりとりが、たとえ傍観者だったとしても好きです。(笑)

ネイティブの会話を聞いているだけで生きた英語の勉強になるし、そこで生活する人たちの価値観に触れることができるものです。

 

駅で中年男性に電車の行き先を尋ねられたのが発端

 

ある日、駅のホームで電車を待っていると、

“Excuse me.”

 

声の主の方へ振り向くと、小柄の中年男性が立っていました。

“I’d like to go to Times Square Station. Can you tell me which train I should get on?”

 

タイムズ・スクエア駅は大きいので急行も各駅も止まりますし、複数の地下鉄ラインが乗り入れているので、downtown行きとuptown行きさえ間違えなければ、どの電車に乗っても行ける駅です。

それも知らないということは、ニューヨークの地下鉄に乗り慣れていない人なのかな?と思いました。

 

いまいる駅からなら、uptown行きであればどの電車でもタイムズ・スクエア駅に行くと答えているうちに電車がホームに入り、その男性もわたしも一緒に電車に乗り込みます。

 

私はクライアントとランチ・ミーティングが入っていて、同じくタイムズ・スクエア駅で降りる予定でした。

あっという間に電車はタイムズ・スクエア駅に入り、電車を降りました。

隣のドアからホームに降り立った例の男性とまた目が合いました。

“Excuse me again. But do you know where this address is?”

 

駅の出口まで一緒に付いて行く

 

携帯を持っていないので場所を調べられないとのことでした。

番地を聞いてもパッと思いつかなかったのですが、そのビルの一階にあるという店には馴染みがあり、私も同じ出口から地上に出るつもりだったので、出口まで一緒に行くことにしました。

 

“I’m supposed to meet my friend.”と、おじさん。

一緒に歩きながら当たり障りのない会話を続けていましたが、おじさんがふと、

“But I’m a little afraid of going there. Can you come with me?”

 

「一緒に友達に会いに行ってもらえませんか?」

 

お?なんだが話が変な方に……

“What do you mean? Aren’t you going to meet your friend?”

私は改めておじさんをよく観察しました(失礼ながら…)

身なりは清潔でちゃんとしてるし、怪しい感じもしません。

なにか真剣に悩んでいるのか、友人との待ち合わせ場所に行くべきかどうかすごく迷っている感じ。

そんなのあなたの問題!一人で勝手に悩んでよ!と突き放すところですが、なんだかそうできない『何か』がおじさんにありました。

普通に考えると、知りもしない相手について行きたいだなんて、変な人としか思えませんけれど。

 

“Shall I call for some help?”

その私の言葉に、急に涙ぐんでおじさんは悲しそうな笑顔を見せました。

“No, you don’t have to.”

そう言って頷きながら、”Thank you.”と言って私の手をぎゅっと握りしめ、去って行きました。

 

おじさんが去っていき…

 

ええ〜!なんか後味悪いじゃん、大丈夫?

思わず警察官に後を頼んだ方がいいような気にもなり、制服姿を探します。

その間に反対側の歩道へ渡ったおじさんの背中は人ごみの中へ消えてしまいました。

 

いまだにおじさんはあの後どうしただろう?あれはどんな状況だったの??と気になっています。


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ABOUTこの記事をかいた人

日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。 翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など 息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。