こんにちは!ニューヨークシティよりMihokoがお届けしています。
先日、こんなご質問を受けました。
『ChatGPTとか、最近のAI(人工知能)による革新はますます進んでますよね。翻訳業界に影響はありますか?』
翻訳は機械化される?
確かに、翻訳作業を人に変わって機械がする時代になってきてはいます。
きてはいますが、まだまだ基礎レベルです。
そしてこの基礎レベルで済む文章であれば、人間の訳者を介する必要はなくなってきているかもしれません。
基礎レベルの翻訳とは、多少の誤訳はあっても、その訳文を読む側が概要をつかめればokayとされる文章です。
また読み手が人間であれば、これは誤訳だな…と察することもできます。
ですが、機械が訳した文章を機械に理解させたりしたら、誤解が誤解を呼んで、もう大変なことになります!
機械翻訳の課題
機械翻訳にはまだまだ課題がたくさんあります。
とくに文脈から文意を判断するのが機械は苦手です。
例えばイディオム。
”You’re really on the ball!”
これは 「しっかりしてるね!」 「さすがだね!」 と、相手のそつない行動や処置、スキルを褒める言葉ですが、機械だと文字通りに 「まさに(物理的な)ボールの上にいるね!」 という意味にとってしまう。
また、「ああ、終わったわぁ!」 と、やばい状況で使う
”We’re toast!” 。
これだって、 「私たちはトーストだ!」 とか、「私たちは乾杯です!」 とか訳してしまったりするわけです。
あるいは、英日翻訳で英語によくある代名詞表現が何を指しているのかうまく判断できなかったり、和文を英語にするときに、適切な主語が選べなかったり。
例えば、『明日持ってこれますか?』 という和文を英語に機械翻訳しようとすると、機械は主語が 「私」 なのか 「あなた」 なのか判断できなくて、
“Can I bring it tomorrow?” なのか、”Can you bring it tomorrow?” なのか…
とか迷って、適当な主語を当ててしまう。
でも、人が訳者であれば、きちんと文脈から正しい主語が選べます。
つまり文章が複雑だったり、仕上がりに高い完成度が求められる分野では、機械はまだまだ人間には敵わないということですね。
翻訳者としてできることは?
となると、訳者として求められるスキルも自然とアップしてきます。機械でもできる基礎レベルのスキルは求められていないからです。
それを逆手に、『機械にはできないことができる!』 というのが、訳者としてのアピール・ポイントにもなります。
こういうご時世だからこそ、基礎力にプラスαのスキルを持っている翻訳者が求められているのではと思ったりします。
※Mihoko先生の前回の記事「【翻訳家の海外暮らし】単なる性格?文化の違い?」を見逃した方はこちらからどうぞ!
日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。
翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など
息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。
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