こんにちは、ニューヨークシティよりMihokoです。
スポーツは好きですか?
自分でプレーするのも観戦するのもどちらも楽しいと思うのですが、私には変な癖(こだわり?)があります。
サッカーの試合をテレビ観戦するときには、スペイン語かイタリア語のチャンネルで観るべし!
なぜって?
それは解説者の言葉遣いで観てる方も熱狂できるから!なんです。(苦笑)
スペイン語やイタリア語でなんて言ってるか、実はよくわかりません。目の前で展開する試合内容から、言葉の意味に見当をつけている程度です。
ちゃんとわかる言葉の解説で試合観戦した方がおもしろくない?と思う方もいらっしゃるかもですね。
ん〜、そうかもしれないですが、言葉のノリを楽しみたいんです。
実況アナウンサーにもよりますが、スペイン語やイタリア語チャンネルの解説者って興奮気味に喋る人が多くて、何言ってるかわかんなくても伝わってくる感情表現が豊か。
贔屓のチームがゴールを決めたときに、そんなドラマティクな実況中継の声がプラスされるとファンとしても嬉しさが倍増しちゃうんです。(単純〜笑)
スタジアムで応援しているような臨場感を視聴者が味わえるように、実況中継するアナウンサーも言葉の選び方を工夫しているのでしょうね。
スポーツ解説者の実況中継は翻訳家にとって宝の山!
この臨場感、翻訳の作業で訳出するときにも工夫するポイントの一つとなるので、解説者の言葉遣いを観察すると良い勉強になったりします。
例えば、言葉から連想する距離感をうまく使うこと。「これ」と「あれ」では、「これ」の方が自分の近くにある感じがします。
Can you open this box for me?
だと、目の前にある箱を示して、「これ開けてくれる?」という場面を想像しますが、
Can you open that box for me?
と thatに変えるだけで、「箱の位置」が遠くなります。
時間的な感覚も効果的に使えます。たとえ目の前で起きている動作の説明や描写表現でも、過去形で
Jen pulled over and made a phone call.
「ジェンは車を脇へよせて停め、電話をかけた。」
と言うと、すでに起こってしまった動作という意味になり、距離的には遠い感覚になりますが、これを現在形にして
Jen pulls over and makes a phone call.
とすると、今、目の前でその動作を逐一追っているような、近い感じになります。
翻訳するときは言葉の距離感をうまく使う
言葉が連想させる距離感で描写表現に効果を出す。文芸翻訳に置きかえてみます。
例えば 「この」「あの」という言葉だと、英語の定冠詞がありますね。
the はすでに話題に登場している名詞など、名詞を特定しますので、「この」「あの」「その」などが使えますが、「この」「あの」「その」のどれにするかで距離感が変わりますね。
また時制表現では、英語の小説だと時制の起点を過去にして、過去形で書かれていることが多いですが、語尾がいつも「〜した」「〜であった」と過去形ばかりだと変化に乏しく単調になってしまいます。
ここは臨場感が欲しい!というポイントで「〜する」「〜だ」と「今」を連想させる表現をポンと使うと、読者が目の前で起きているという感覚を味わえ、臨場感が出ます。
距離感を大事にした言葉の選びかた、ぜひ観察してみてくださいね!
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日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。
翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など
息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。
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