こんにちは、ニューヨークシティよりMihokoです。
今日も素人ならではのbook reviewお届けです!
Muriel Barbery『L’élégance du hérisson』
今回はフランスの作家 Muriel Barberyの作品、L’élégance du hérissonをご紹介したいと思います。
私が読んだのは英語版 The Elegance of the Hedgehogですが、L’élégance du hérissonは2008年の出版以来40以上の言語に翻訳されているそうで、ベストセラーです。
この本に出会ったのは地元の図書館でした。
その図書館では「当館司書のおすすめコーナー」というのがあって、このコーナーで取り上げられている本たちがよりどりみどりで面白いんです。
隙間時間にちょっとだけ立ち寄ったとき、自分で本を選ぶ時間がないときなどに、私はこのコーナーの中から目についた本を手にします。
1日で読み終わってしまうほど夢中に!
その日は子供を迎えに行く途中でちょっとだけ時間が空いて図書館に寄りました。
おすすめコーナーに立てかけてあった本の、中表紙のあらすじにふと目が留まりました。
『13歳の誕生日に自殺を計画している、日本文化に興味をもったパリの少女』
へぇ〜、なにそれ、どんな少女?
しかもタイトルが hedgehogって、ハリネズミ? ヤマアラシ?
むくむくと好奇心が掻き立てられます。
読んでみよう!
で、家に持ち帰ってページを開いたのですが、その日のうちに読み終わってしまうほどお話の世界に入り込んでしまいました!(苦笑)
物語のキーマンは日本人男性!
舞台は現代のパリ。
未亡人のルネは54歳。
高級アパートの管理人として毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしながら、テレビのソープオペラでつかの間の現実逃避をして暮らしています。
飼い猫のレオが唯一の話し相手。
そのアパートに住む12歳のパロマは裕福な家庭に生まれていますが、聡明ゆえに人生を達観し、次の誕生日に命を絶ってしまおうと考えています。
諦念しか持たない、自分の世界に引きこもった二人の人生を変えるのが、アパートに新しく引っ越してきた、とある日本人男性なのです。
このお話には、岡倉覚三の「茶の本」、小津安二郎の映画、古今集、などなど、日本文化がたくさん登場します。
きっと親日家なのかな?と作者をググってみたら、2008〜2009年に日本に住んでいたようですね。
それで!と納得しました。
哲学的なストーリーと魅力的な登場人物
ストーリーは、とても哲学的。
それもそのはず、作者は大学で哲学を教えていらっしゃったらしいです。
フランス、より狭く括れば、パリという社会で、一般的に与えられた典型的役割像を否定し、そんな型に収まることを心から嫌っている人物たちが主な登場人物です。
そしてそんな人物たちが自分探しをするお話でもあります。
50代の未亡人と12歳の少女という組み合わせだけでも風変わりですが、そこに日本人男性という異国人がプラスされるところがまたスパイスのようにピリっとしていて、パリに住む人たちが外国人によって人生に開眼するというのも面白いです。
日常に埋もれている非日常とか、自分では気づかない自分の魅力とか、すぐ近くにあるのに見えづらいものとか、そんなものに気づかせてくれる、そんなものを思い出させてくれる、そんな作品です。
読み終わったときに胸がじーんと熱くなって、元気をもらいました。
デビュー作も気になります!
Muriel Barberyのデビュー作、私はまだ読んでいないのですが、実はこのThe Elegance of the Hedgehogのメインキャラクター、管理人のルネもちょっとだけ登場するらしいんです。
Une Gourmandise、英題Gourmet Rhapsody、こちらは料理評論家が主人公のお話みたいです。
こちらもタイトルに惹かれますね。
読んでみようかなと思っています。
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日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。
翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など
息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。
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