こんにちは!英日翻訳家デビュー講座にて講師を務めておりますMasakoです。
前回、Attachmentという単語の意味から感じる日々の暮らしのお話をしましたね。
※前回の記事「【翻訳家の暮らし】Attachmentとは?~前編」を見逃した方はまずこちらからどうぞ!
今回は、前回偶然出会ったカルガモ親子とのお話の続きです。
カモたちに会いに行く日々の始まり
それは4月のことで、どうやらヒナたちは生まれたてのようでした。
以来三日に一度ほどのペースでカモたちに会いに行く日々が続きました。11羽いたヒナたちは、行くたびに1羽減り、2羽減り、最終的に6羽となってしまいました。
カルガモはとても健気な生き物であることをこの時知りました。というのも、母親が一人で抱卵し、ヒナは生まれるとすぐに泳ぎ出して自分で餌を食べるため、母親はただ見守るだけの完全なワンオペ子育て。
ヒナの天敵となるカラスやヘビ、亀などに襲われても、残念ながら母親にできることはあまりありません。ひたすら見守るのみ。とはいえ、これは24時間気を抜けない仕事です。
そしてあの有名なカルガモの引っ越しも、ヒナがごく小さなうちに実行します。
ヒナたちは小さな体で母親を追って泳ぎ、歩き、自分で餌を探し、体を寄せ合って昼寝をします。長時間水に浸かっていると、体温が低下して死に至ることもあるそうです。
不思議な感覚
不思議な感覚を経験したのはこの時でした。
幼いヒナを母鴨が見守り、わたしたち周囲の者(わたしが感知できるのはわたし自身)がその母親とヒナたちを見守り、そしてわたしという人間を何かもっと大きな力がどこかからいつでも見ていてくれる、見守ってくれているという実感。
その大きな力とは、もうこの世にはいない父親や祖父母、夭逝した長男、そんな人たちでしょうか?それとも昔の人が言う「おてんと様」が見ていてくれるのでしょうか?
いずれにせよ、ヒナ<母鴨<ヒト、こんな風に入れ子になった一番中心にヒナたちがいるという構図が浮かんだのです。
成長していくヒナたち
その後、母親は6羽のヒナを残してどこかへ飛び去ってしまいました。
残された6羽はとても仲が良く、いつでも一緒に行動しており、全員を束ねるリーダー的存在がいるようでした。
実際、わたしは一度「ねえ、あんたたちのお母さん美形だったよねぇ!」と話しかけたところ、驚いたことに反対岸に群れていたヒナたちの一羽がこちら岸まで泳いできたかと思うと、以前に母親の写真を撮った場所に母親と同じポーズで立って、向こう岸の仲間に遠いまなざしを向けたのです。
まるで「今はね、あたしが母親代わりよ!」と言わんばかり。
「なるほど!母親譲りの美形だし…」なんだか通じちゃったなあと胸が熱くなったわたしです。
「通じた」という満足感
いつ行ってもほんとうに仲が良い6羽。そのせいか6羽とも無事に大きく成長していきました。
そしてしばらくぶりで会いに行ったときに、みなあまりに美しく成長しており、青い翼鏡(カルガモの羽にある青い部分)が輝くばかりだったので、思わず「あんたたち、きれいになったわねぇ!」と叫んでしまったわたし。
それを聞いてかどうか、6羽は大はしゃぎで、「そうでしょう?!もっと見て見て!!」とばかりに羽を広げて川面を走りまわってくれたのでした。カメラ目線で昔懐かしいサタデーナイトフィーバーを踊ってくれた子もいました。羽を広げ、逞しい太腿筋を披露してマッチョぶりをアピールする子もいました。
なにせ、綿毛がもこもこでピーピー鳴いていた頃から通っていたのですから、妙な音がして伸び縮みする黒い筒のようなものを持ち
“Hi there! How are you doing today?”
と話しかけてくる変なばあちゃんに対して、ある種アタッチメントが形成されていたのでしょうね。
とにかく「通じた」という満足感は格別でした。
「アタッチメント」からの絆
何ができるわけでもなく、ただ見守ることしかできないけれど、アタッチメントを形成して絆を築き上げるには、見守るだけで十分。
むしろそれが最重要な要件なのであり、誰かに見守られているという感覚は、心の安定には欠かせないものなのだとつくづく感じたしだいです。
それは、まるでわたしがモナリザの微笑みを見るたびに聞こえてくる見守りと承認の言葉「いいのよ、それで」を感じれば十分であるように…。
巣立っていく6羽のカモ
7月初め、6羽のカモたちは大人になり、1羽また1羽と飛び立って行き、残されたわたしはまさにempty nest syndrome。
とはいえ、今年になり新たな親子を見つけ、またあの充足感を味わおうと、時間を見計らってはカメラを携えてカモ活を続けています。
商社勤務。英国へ語学留学しCambridge English Certificateを取得。帰国後外資系企業に勤務。その後結婚して夫の転勤先である米国カリフォルニア州、テキサス州、さらにアフリカのナミビアを転々とする。
それぞれの地域のカレッジにて英語、スペイン語、数学、歴史など一般教養を終了し、ナミビアでは、南アフリカ大学の通信教育にてPsychologyを専攻。
1998年に帰国し、2000年にフリーランス「医学翻訳家」として稼働開始。医学分野において創薬(製剤試験、動物試験)、治験関連文書、承認申請資料、照会事項、文献、製薬品質管理、副作用報告書等々、様々な文書の英日、日英翻訳を手掛けて今日に至る。
<趣味や日課>
昔から単純なパズルゲームが好きで、現在は3マッチパズルにはまってます。他には読書。Amazon Primeでドラマや映画を鑑賞(CMがなく、好きな時間に連続して見ることができるので、国内、海外、ジャンルを問わず興味がわいたものを観ますが、近ごろはやりの『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』など常時アドレナリンだらだら系は苦手)、音楽鑑賞。
スポーツ観戦は、相撲に加え、テニスはウィンブルドンのみ、サッカーは四年に一度のワールドカップのみ観戦。フィギュアスケートも観ます。スポーツジムでエアロやヨガのレッスンを受け、マシンに乗ったりしていたのですが、どちらかというとその後の入浴が楽しみ。現在はウォーキングに切り替えています。料理は時短で済ませますが、どういうわけか編み物が好きです。
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