こんにちは、英日翻訳家デビュー講座を担当しておりますMasakoです。
前回の記事で英語の詩の同韻語の使用(ライミング)についてちらりとお話ししましたね。
“Alice’s Adventure in Wonderland”に出てくる詩や言葉遊びについて触れました。
脚韻やリズムで口ずさみたくなる英語のライミング
そういえば英語圏の子供たちは、幼いころからライミングを聞かされて育つのだなあ、と遅ればせながら気が付きました。
卑近なところでは、以下のようなライミングフレーズを、これまた我が息子たちから教わりました。
Finders keepers, losers weepers.
「見つけた者勝ち、無くした者は泣き寝入り」Liar, liar, pants on fire.
「うそつき、うそつき、ほらご覧パンツに火がついた!」
どちらもリズムよくライミングしていて、落とし物をした人やうそつきの相手を茶化すのにぴったりですよね。
2番目のLiar, liar……について、うそつきのパンツになぜ火がつくのかなあ?? ナンセンスの極みですね。これには、実は続きがあるのです。
Nose as long as a telephone wire.
「電話線みたいに鼻が伸びちゃった!」
これはおそらくあのピノキオの鼻から連想したのでしょう。
続けると
Liar, liar, pants on fire.
Nose as long as a telephone wire.
現在では長い電話線を想像する子供はいないでしょうが、liar、fire、そしてwireがうまく韻を踏んでおり、ついリズムよく口から飛び出しそうです。上記の例はいずれも文の末尾で韻を踏む「脚韻」と呼ばれるものです。
“Alice’s Adventure in Wonderland”でも詩が多数出てきますが、そのいくつかは当時すでに存在していた詩をアリスが暗唱しているので、オリジナルとは異なるアリス流の詩にしてしまっているようです。それでも、ライミングはきちんときまってます。さすがです。”You are old, father William”の一節をみてみましょう。
“You are old, father William,” the young man said,
“And your hair has become very white;
And yet you incessantly stand on your head—
Do you think, at your age, it is right ?”
日本の童謡のライミング
先日あるテレビ番組で某歌手が、童謡『七つの子』について解説しているのを観て、はっとしたのでここにご紹介しましょう。日本で育った人ならどなたもご存知の童謡です。
♪七つの子♪
か~ら~す なぜなくの
からすはやまに
か~わいい な~なつの 子があるからよ
か~わい か~わいと からすはなくの
か~わい か~わいと なくんだよ
ご覧のとおり、すべて「か」で始まります、か~か~と聞こえるカラスの鳴き声を真似たもので、これは文の頭が韻を踏んでいる「頭韻」ですね。しかも、か~とのばした際の「~」を「あ」として数えると、俳句のリズム、お決まりの五七調でまとまっています。
童謡『七つの子』は、音、リズム、韻とすべてを含んだ優れた詩だったのですね。
英語の詩と日本語の詩
英語の詩はライミングに趣を置いているのに対し、日本の詩歌、それにことわざでは、韻を踏むというより七五調のリズムを重んじているようです。とはいえ、英語の詩のなかにも、伝統的なライミングにとらわれない自由詩もあります。エミリー・ディッキンソンの詩などその典型でしょう。
また、ナンセンスな言葉を並べた以下のようなフレーズもあります。リズムを重視しているようです。
Eeny, meeny, miney, moe.
日本ではおそらく「どちらにしようかな、かみさまのいうとおり」に当たると考えられますね。
思いつく限り、ディズニーからは魔法の言葉 ”Bibbidi-Bobbidi-Boo” があり、
日本では魔法の言葉「テクマクマヤコン」(古すぎて、????でしょうか)があります。
なにげなく日常で使われている言葉やフレーズも、こうして改めて見てみると、とても興味深いものです。
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商社勤務。英国へ語学留学しCambridge English Certificateを取得。帰国後外資系企業に勤務。その後結婚して夫の転勤先である米国カリフォルニア州、テキサス州、さらにアフリカのナミビアを転々とする。
それぞれの地域のカレッジにて英語、スペイン語、数学、歴史など一般教養を終了し、ナミビアでは、南アフリカ大学の通信教育にてPsychologyを専攻。
1998年に帰国し、2000年にフリーランス「医学翻訳家」として稼働開始。医学分野において創薬(製剤試験、動物試験)、治験関連文書、承認申請資料、照会事項、文献、製薬品質管理、副作用報告書等々、様々な文書の英日、日英翻訳を手掛けて今日に至る。
<趣味や日課>
昔から単純なパズルゲームが好きで、現在は3マッチパズルにはまってます。他には読書。Amazon Primeでドラマや映画を鑑賞(CMがなく、好きな時間に連続して見ることができるので、国内、海外、ジャンルを問わず興味がわいたものを観ますが、近ごろはやりの『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』など常時アドレナリンだらだら系は苦手)、音楽鑑賞。
スポーツ観戦は、相撲に加え、テニスはウィンブルドンのみ、サッカーは四年に一度のワールドカップのみ観戦。フィギュアスケートも観ます。スポーツジムでエアロやヨガのレッスンを受け、マシンに乗ったりしていたのですが、どちらかというとその後の入浴が楽しみ。現在はウォーキングに切り替えています。料理は時短で済ませますが、どういうわけか編み物が好きです。
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