みなさんこんにちは、英日翻訳家デビュー講座のMasakoです。
突然ですが、日本語の方言の豊かさにはほんとうに驚かされますねぇ。
東京で生まれ、東京で育ったわたしには、地方の同郷人が集まって方言で話し出すと、うらやましく思います。
方言がわからないから傷つくことも
大阪弁などはよくTVに出てきますので理解できますが、とても太刀打ちできない方言をきくと「ああ、この人たちは、生まれながらのバイリンガルなのだわ」と思ったりします。
そういえば昔オフィスに勤めていた頃、関西出身でもないのに部下を叱るときには突然関西弁になる上司がいました。
標準語の口語体である東京弁より、柔らかくユーモアすら感じられるため、「あほ!」とどやされた方も鋭く傷つくこともなかった気がします。
現在では、津々浦々標準語がTVやラジオ、それにネットから流れているのですから、地方にいても、標準語の理解にはまったく問題ないでしょう。
これにプラス方言ですから、標準語オンリーのこちらはまさにお手上げ状態です。
しゃべれるようになった甲州弁
小学生くらいまで、毎年夏休みのお盆の季節になると、高校野球の実況を聴きながら両親の実家がある山梨県に行くのが恒例になっていました。
1週間も滞在していなかったと思うのですが、毎回行くたびにいつの間にか山梨の言葉・甲州弁をしゃべっていることに気が付いたものです。方言とは伝染するんですね。
「いいじゃん」
「わいらんとう、また来てくりょう!」(あんたたち、また来てね)
「行っちょし」⇔「行けし」(行っちゃだめ、行きなさい)
そして、「ほうずら、ほうずら」(そうよ、そうよ)なんて相槌を打っていました。
土地の人たちにとっては、わたしのにわか作りの甲州弁がさぞかし妙だったでしょうね。
ところが『赤毛のアン』の最初の翻訳者である村岡花子、山梨出身のこの人をヒロインとした連続テレビ小説『花子とアン』で、「こぴっと」という言葉が連発されているのに驚いたものです。
甲府からはるか山奥に入った小さな村では、それまで耳にしたことがない言葉だったからです。
同じ山梨の中でも、使われている言葉が微妙に違っているのですよ。
このように、方言を研究している研究者にとっては、頭が痛くなるような話ですね。
(もちろん、そこが興味深いとおっしゃる研究者もおられるとは思いますが)。
翻訳で、方言をどう反映させる?
英日翻訳家デビュー講座Liteで課題としているRebecca Otowaさんの小説には、実話に基づく短編がいくつかあります。
その舞台となるのが滋賀県の近江地方です。
京都弁とも大阪弁とも異なる近江弁と呼ばれる方言が使われているようで、ネット上の『滋賀県の方言一覧』には
「滋賀県の方言である近江弁・滋賀弁のイントネーションは、関西弁と同様に抑揚が大きいのが特徴です。滋賀県の中心にある琵琶湖を挟んで、湖北・湖南・湖西・湖東の4つに分類されます。――」
と記載されています。
こういった方言をどのように、またどこまで訳文に反映させるか、英語にはない敬称や敬語などと同様思い悩むところですね。
ストーリーの展開を重視して言葉はすべて標準語とするか、それらしい関西弁にしてみるのも一考でしょう。
また、近江出身の友人などに尋ねてみるのもいいかもしれませんが、標準語とあまりにかけ離れている方言の場合、注釈だらけになってしまいそうですよね。
そういえば、島国日本でのみ進化したスマホ以前の携帯電話を「ガラパゴス携帯、ガラケー」などと呼んでいた時期がありましたね。
山や森や谷で他県や隣の村からパッチワーク状に隔離された日本の地方では、その場所に特化して
進化したいわば「ガラパゴス言語」が豊かなのでしょう。
生物多様性が叫ばれている今、同じように、今や絶滅危惧に瀕しているこの日本の言語多様性も大切にしたいものだと思います。
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商社勤務。英国へ語学留学しCambridge English Certificateを取得。帰国後外資系企業に勤務。その後結婚して夫の転勤先である米国カリフォルニア州、テキサス州、さらにアフリカのナミビアを転々とする。
それぞれの地域のカレッジにて英語、スペイン語、数学、歴史など一般教養を終了し、ナミビアでは、南アフリカ大学の通信教育にてPsychologyを専攻。
1998年に帰国し、2000年にフリーランス「医学翻訳家」として稼働開始。医学分野において創薬(製剤試験、動物試験)、治験関連文書、承認申請資料、照会事項、文献、製薬品質管理、副作用報告書等々、様々な文書の英日、日英翻訳を手掛けて今日に至る。
<趣味や日課>
昔から単純なパズルゲームが好きで、現在は3マッチパズルにはまってます。他には読書。Amazon Primeでドラマや映画を鑑賞(CMがなく、好きな時間に連続して見ることができるので、国内、海外、ジャンルを問わず興味がわいたものを観ますが、近ごろはやりの『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』など常時アドレナリンだらだら系は苦手)、音楽鑑賞。
スポーツ観戦は、相撲に加え、テニスはウィンブルドンのみ、サッカーは四年に一度のワールドカップのみ観戦。フィギュアスケートも観ます。スポーツジムでエアロやヨガのレッスンを受け、マシンに乗ったりしていたのですが、どちらかというとその後の入浴が楽しみ。現在はウォーキングに切り替えています。料理は時短で済ませますが、どういうわけか編み物が好きです。
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