みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
今回はフィンランド出身の講師エリカがお届けします。
二つのタイプ
翻訳家が苦労するのはどこかというと、
いわゆるダジャレ、ギャグ、かけことばが真っ先に浮かびます。
「ダジャレ」や「ギャグ」というと娯楽的なもの、
「かけことば」というと詩など芸術的なものを想像しますね。
しかしダジャレやかけことばって、どう訳したら良いか悩みますよね。
言葉というものは基本的には恣意的なものなので、
Aという単語とBという単語がある言語では似ていても、
別の言語でも似ているという保証はどこにもありません。
なので、当たり前ですが、同じギャグが別の言語でも成立するとは限りません。
タイプ①
例えば、英語には次のようなギャグがあります。
Why is 6 afraid of 7? Because 7 8 9.
どうして面白いかわかりましたか?
(実際にはあまり面白くないかもしれませんが…。)
これは、「8」(eight)とate(食べた)という単語をかけたギャグなのです。
スペルは違いますが、英語ではどちらも「エイト」という音になるのです。
つまり、「7が怖いのは、7が9を食べたからだ」…ということになりますね。
このダジャレは、英語でしか成立しない可能性が大きいですね。
このような「かけことば」的なものには
大きく分けて二つのタイプがあると考えているのですが、
上のように同音異義語や音が非常に似ている単語を使ったギャグが
タイプ①です。
タイプ②
タイプ②のギャグは、
同じ単語に二つ以上の意味があるギャグです。
例えば、日本語の「甘い」。
もちろん密のような甘味のことを意味しますが、
他にも「厳しさに欠けている」「判断が軽々しい」という意味でも使いますよね。
日本語で「君は甘い!」と言われたら
一瞬で「判断が軽々しい」という意味だと分かるのですが、
一応、敢えてキャラクターに誤解させてギャグに発展させることも可能です。
「(腕を舐めてみて)どちらかと言うとしょっぱい気がしますが…。」
…などという風に。
(寒すぎる例ですみません。)
ギャグとして成立する?
しかし、英語でYou are sweet!と言ったらただの誉め言葉になりますので、
何か別の単語に頼ってギャグを成立させる必要があります。
文章だけなら別のギャグで代用するのはそこまで難しくありませんが、
漫画など絵が付いている場合は
絵の内容によっては自然に訳す作業が一段と難しくなりますね。
絵の内容の説明がつかなくなっても困りますから。
そういえば「(ギャグが)寒い」という「寒い」(cold)も英語では通じません。
通常はcheesyと言うのですが、
これは「チーズみたいに臭い」ということなのかもしれませんね。
好きなかけことばの英訳
難しいかけことばの翻訳ですが、
たまたま想像以上に上手く行くときもあります。
百人一首には「松」と「待つ」をかけた詩が載っているのですが、
これを上手く英訳した本があります。
実は英語のpine(松)にはなんと、もう一つ、
「切望する、恋焦がれる」という意味があるのです。
本当にたまたま、ですね。
残念ながらここに掲載することはできませんが、
Peter MacMillanという方による百人一首の英訳に載っていますので、興味がある方は是非チェックしてください。
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フィンランド出身。日本語能力試験最難関のN1取得。IELTSアカデミックスコア8.5(8はExpert User、9はNative User)。日本語も日本人と見分けがつかないほど流ちょうに使いこなせるN1講師。フィンランドでは小学生のころから英語を学び始め、海外のテレビや映画は吹き替えではなく字幕が使われており、若い世代は英語が話せない人はほとんどいないと言っても過言ではない状態にあります。Erika先生も幼稚園から英語を使って育っており、英語力についても当社英語圏ネイティブ講師がまったくネイティブとそん色ないレベルと評価しています。座右の銘は「Challenge yourself!」
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