Hello everyone!
今回は、フィンランド出身の講師Erikaがお届けします。
翻訳家シリーズ前回の記事、「【翻訳家になるには】登場人物のキャラを大切に!」を見逃した方はこちらからどうぞ!
原文はときには邪魔になる?
先日、日本人の友人と言語についてお話をしていました。彼女は日本語教師なので一緒にいるとよく言語の話になるのですが、今回は彼女のある言葉を聞いてすごくピンと来ました。
彼女曰く、目の前に日本語があると英語が思いつかなくなるらしいです。彼女は仕事柄よく文章を英語に翻訳する必要があるのですが、目の前に日本語の原文があると、どうしてもそちらをばかり意識してしまい自然な英語が思いつかなくなってしまうのだそうです。
私もそういう経験がありますので「なるほどな」と思いました。
これは言語学習でもよくぶつかる壁だと思うのですが、自分の言いたいポイントをまず母語で言い表しそこから英語に翻訳するよりかは、最初から直接英語で考えたほうがネイティブらしい英語になることってありますよね。
最初からターゲット言語で考える
例えば、私の友人が今回悩まされたのが「宿題がある」の英訳でした。
日本語では「宿題」が主語になっているので、英語でもhomeworkを主語にして”homework will be given”という風に訳していたのですが、この場合は
”you will be given homework”
の方が英語として自然でした。
日本語ではyouが一切登場しませんので、日本語からそのまま英語に訳そうとするとある程度英訳の経験がある人でないとyouは一瞬では出てこないと思います。
日本語の原文があるとどうしても日本語の表現は言い方を意識してしまうので、ネイティブが使いそうな表現が出て来なくなってしまうということですね。
できれば文章を書くときは、最初からターゲット言語で考えたいものですね!
翻訳作業では…?
しかし、翻訳というのは原文(ソース言語)ありきの作業なので、いきなり原文をなくすというのはなかなか難しいですよね。というか、はっきり言って不可能です(笑)
ですが、原文を意識しすぎてどうしても影響されてしまうときは翻訳家にもあると思います。
一番最初の段階の下訳は直訳でも大丈夫ですが、ゴールとしてはできるだけ「翻訳の匂いがしない文章」を書きたいので、ある程度磨きをかけてよりナチュラルな文章にする必要があります。
この壁を越えるために、翻訳家はいろんな工夫をします。
たとえば、一定期間、原文と距離を置くのが有効な手段だと思います。原文を忘れて、翻訳文だけを味わって読めば、文章としてのリズムが良いか、読みやすいか、ターゲット言語として自然なのか、いろんなことが初めて見えて来ると思います。
読者はもちろん原文を知らないわけですし、そもそも原文を別言語で完璧に再現するのは不可能な話ですので、
少なくともフィクションの世界では、原文のワーディングに忠実かというよりかは、文章として、ターゲット言語として自然なのか、読み心地が良いかどうかが重視されると思います。(もちろん原文の伝えたいことを正確に伝えているのも大前提です。その点、翻訳家の責任が重大です(笑))
と、日本語教師の友人の言葉を聞いて、翻訳についていろいろ考えさせられたのでした。
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フィンランド出身。日本語能力試験最難関のN1取得。IELTSアカデミックスコア8.5(8はExpert User、9はNative User)。日本語も日本人と見分けがつかないほど流ちょうに使いこなせるN1講師。フィンランドでは小学生のころから英語を学び始め、海外のテレビや映画は吹き替えではなく字幕が使われており、若い世代は英語が話せない人はほとんどいないと言っても過言ではない状態にあります。Erika先生も幼稚園から英語を使って育っており、英語力についても当社英語圏ネイティブ講師がまったくネイティブとそん色ないレベルと評価しています。座右の銘は「Challenge yourself!」
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