Hello everyone!
今回はフィンランド出身の講師Erikaがお届けします。
今日は、「翻訳の範囲」について考えてみたいと思います。
どこまで翻訳する?
皆さんは、「どこまで」翻訳しますか?
これはフランス在住の知り合いから聞いた話なのですが、フランスでは映画を翻訳する際に登場人物やナレーターの台詞だけではなく、画面内に映るすべての文字を翻訳するそうです。
例えば背景の看板や、Tシャツのロゴ、テレビのテロップなどを全てフランス語にするのだそうです。
そうでないと、中途半端でクオリティの低い翻訳に見えてしまうとのこと。
残念ながらフランス語版のDVDが今手元にないので、果たしてどこまで翻訳されているか確認できませんでしたが、確かに言われてみればこれはいわゆる「訳抜け」と考えられなくもないですね。
しかし、日本の映画では通常、そこまではしませんよね。
私の感覚としてはTシャツの文字など、本編のストーリーと関係ないものは翻訳しなくても良い気がしますが、これも慣れの問題なのかもしれないですね。
固有名詞は翻訳する?
最近ではかなり少なくなってきましたが、
ヨーロッパでは昔から外国の君主の名前を翻訳する習慣がありました。
例えばCharlesという君主の名前は
イタリア語ではCarlo、スウェーデン語ではKarl、フィンランド語ではKaarleになります。
メジャーな地名も翻訳します。
例えば、Venice(英)、Venezia(伊)、Venedig(独)(ベネチア)という例がありますね。
しかし、現代人の個人名は通常は翻訳しませんし、映画や小説の世界でも、(少なくても日本では)個人名は基本的にそのままです。
「ハリー」がいきなり「太郎」になっていたらびっくりしますよね(笑)
ただし、例外もあります。
個人的に好きな例は、トールキン氏の『指輪物語』なのですが、作者の意向を反映して、各国では固有名詞を現地の言葉に翻訳しているのだそうです。
一方、フィンランド語では外来語の語尾の活用が難しいため、特に子供向けの作品では登場人物の名前や架空の地名をフィンランド語風に変えることが多いです。
(もちろん、大人向けの作品では固有名詞は基本的に変えません。)
親しみやすさだけでなく、このような実用的な理由もあるのです。
翻訳とローカリゼーション
単に言葉をターゲット言語に翻訳するだけでなく、作品の舞台や設定を丸ごと変えたり、ターゲット言語を話す人々の現地の文化を文章の内容に反映することを「ローカリゼーション」と言います。
映像作品では珍しいと思いますが、ゲームなどでは映画に比べ内容を変更することが比較的簡単なので、
例えば日本を舞台とするゲームをアメリカで発売する際に舞台をアメリカに変えた例がいくつかあります。
(ところで、逆の例は存在するのでしょうか?)
「どこまで翻訳するか」は、一見はっきりしているように思われますが、よく考えればその境界線は意外と曖昧なものですね。
このため、各作品の対象読者/視聴者などを考慮して翻訳する範囲を作品によって変える必要があります。
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フィンランド出身。日本語能力試験最難関のN1取得。IELTSアカデミックスコア8.5(8はExpert User、9はNative User)。日本語も日本人と見分けがつかないほど流ちょうに使いこなせるN1講師。フィンランドでは小学生のころから英語を学び始め、海外のテレビや映画は吹き替えではなく字幕が使われており、若い世代は英語が話せない人はほとんどいないと言っても過言ではない状態にあります。Erika先生も幼稚園から英語を使って育っており、英語力についても当社英語圏ネイティブ講師がまったくネイティブとそん色ないレベルと評価しています。座右の銘は「Challenge yourself!」
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