Hello everyone!
今回は、フィンランド出身の講師Erikaがお届けします。
英日と日英の違いは?
ある日ふと、
「日英翻訳と英日翻訳の違いって何だろう」
という疑問が頭に浮かびました。
「逆だから全然違うじゃないか」
(あるいは「同じ言語ペアだからほとんど変わらないじゃないか」)
と簡単に片づけられそうな疑問なのですが、いろいろ考えているうちに一つ大きな違いに気が付きました。
日本語訳は「口調」がポイント!
英語に比べると、日本語では「口調」が非常に大きな役割を持っています。
映画やドラマの日本語字幕(もしくは吹き替え版)を見ていると、キャラクターの口調が大きく目立ちます。
例えば、比較的ニュートラルな英語を話している女性キャラクターが、語尾に「~だわ」を付けたり、
その女性と大して変わらない英語を話す男性アクションヒーローが語尾に「~ぜ」を付けたり、
日本語の「役割語」は非常に面白いと思います。
この現象に初めて気が付いたのは、まだ日本語が上手く話せなかった頃でした。
現実世界で「~だわ」を使う女性に一度も会ったことがないのに、映画の吹き替えの女性が「~だわ」と言っているのがとても印象的でした。
「キャラクター」を決めておく
私自身はプロとして英日字幕翻訳に関わったことはありませんが、フルーツフルイングリッシュの仕事でときどき短い英文を日本語に翻訳する機会があります。
これはその経験から分かったことなのですが、日本語に翻訳する時は予め登場人物の「キャラクター」を決めておかないと、
ちぐはぐな印象になったり、ちょっと不自然な日本語になってしまう可能性が高いですね。
上司キャラなのか、子供キャラなのか、若者キャラなのか…
いろんな口調がありますよね。
さらに、日本語には一人称や二人称が本当にたくさんありますのでその人に合わせた人称選びも重要ですね。
英語では「I」一択なので迷わずに済みます。
便利な一方、表現の幅が縮んでしまいますので少し寂しい気もしますが…。
もちろん、ニュートラルな「地の文」(台詞でない文)ではこのような問題には直面しませんが、
地の文でも「~である」調なのか、「~だ」調なのか最初から決めておく必要があります。
もちろん英語にも文語、口語、インフォーマルな表現などの区別がありますが、
私の感覚としては「口調の違い」は日本語ほどはっきりしていません。
「役割語」の辞書はない!
さて、話が少し戻りますが、私は日本語母語話者ではないのでこういう「役割語」にはあまり自信がありません。
そこで、自然な役割語を調べるために辞書を買おうと思ったのですが、
なんと!
驚くことに、検索してもほとんどヒットしませんでした。
つまり、いつも日本語で文章を書いている方々が無意識のうちに「役割語」を自然に使っているということですね。
本当に尊敬しちゃいます(笑)
あったらとても便利な辞書だと思いますので、発売されるのを気長に待ちたいと思います。
その際は、日英オノマトペ辞典も是非一緒に発売していただけたら嬉しいです!
邦楽・洋楽のヒットソングで英語を学ぼう!
名曲を訳しながら解説♪翻訳家の言葉の選び方
プロの翻訳家が実際に訳す過程をイチからお見せします!
文芸翻訳の中でも特に深い読解力と言葉選びのセンスが要求される楽曲翻訳について、一行ずつ丁寧に解説した飜訳集。
日本語・英語の曲、合わせて12曲が収録されています。一緒に翻訳をしていくことで、プロならではの技術が習得できます!
フィンランド出身。日本語能力試験最難関のN1取得。IELTSアカデミックスコア8.5(8はExpert User、9はNative User)。日本語も日本人と見分けがつかないほど流ちょうに使いこなせるN1講師。フィンランドでは小学生のころから英語を学び始め、海外のテレビや映画は吹き替えではなく字幕が使われており、若い世代は英語が話せない人はほとんどいないと言っても過言ではない状態にあります。Erika先生も幼稚園から英語を使って育っており、英語力についても当社英語圏ネイティブ講師がまったくネイティブとそん色ないレベルと評価しています。座右の銘は「Challenge yourself!」
※このブログでは英語学習に役立つ情報アドバイスを提供していますが、本ブログで提供された情報及びアドバイスによって起きた問題に関しては一切、当方やライターに責任や義務は発生しません。
※ここでの情報や助言を参考に英文を書いたり下した判断は、すべて読者の責任において行ってください。ここに掲載されている記事内の主張等は、個人の見解であり当社の意見を代弁・代表するものではありません。
英日翻訳講座で少しだけですが学習したとき、「口調」や「代名詞」で雰囲気や背景が大きく変わってしまうことを、イヤと言うほど体験しました。
「I」 だけでも、わたし、わたくし、おら、うち、あたい、わらわ、この身、手前、おれ、わし、余、朕、みども、ぼく、おいら、等々。
だから、英語だと ”I’ll go,” he said. “You shouldn’t go,” she said. となるのを、
「ぼくがいく」「行っちゃダメよ」というふうに、地の文を省いて会話だけで延々と繋ぐことができるんです。映画の字幕もつけやすいかもしれません。