みなさん こんにちは!英日翻訳講師のMisaです。
前回のブログでは「洋書や洋画の邦題」と「邦題決定のプロセス」についてお話ししました。
さて今回は、その逆のパターン、はい! 「日本の小説や映画の英語タイトル」についてお話ししましょう!
日本の小説や映画、特にアニメは海外でも人気が高く、みなさんもこれらの英語タイトルをときどき目にしたことがおありだと思います。原題をそのままアルファベットで表記したものもあれば、原題を忠実に英訳したもの、原題はさておきストーリーやテーマに絡めたものもあります。タイトルの翻訳を見るのが大好きなわたしは、英語タイトルについてインターネットで調べてみました!
日本の小説の英語タイトル
有名なところをいくつか挙げますと、『Rashomon』(羅生門)、『The Seven Samurai』(七人の侍)、『Tokyo Story』(東京物語)、『The Makioka Sisters』(細雪)、『Kafka on the Shore』(海辺のカフカ)、『Fireworks』(HANA-BI)など。
近年の人気作なら、『Departures』(おくりびと)、『Spirited Away』(千と千尋の神隠し)、『Fullmetal Alchemist』(鋼の錬金術師)、『The Housekeeper and the Professor』(博士の愛した数式)など。あっ、そして忘れてはならないのが、『The Life-Changing Magic of Tidying Up』! はい! アメリカで大ブームのKonMariこと、近藤麻理恵さん著の『人生がときめく片づけの魔法』です!
うまく工夫された英語タイトル
こうして英語タイトルと原題を羅列すると、それぞれに工夫されていて、作品の魅力がうまく伝わってきます。『Departures』(おくりびと)や『Spirited Away』(千と千尋の神隠し)は、ストーリーやテーマと絡めたコンパクトで印象的な英語タイトルですよね! departureは「出発、出航、門出」の意味で、「あの世への旅立ち」という意味合いで使われていると思われます。be spirited awayは「連れ去られる、神隠しに遭う」の意味で、ストーリーをシンプルにかつ、的確に言い表しています。
では次に、思わず「うまい!」とうなったものや、クスリと笑ってしまったものをご紹介しましょう!
『It’s Tough Being a Man』(男はつらいよ)
『Battles Without Honor & Humanity』(仁義なき戦い)
『High and Low』(天国と地獄)
『The Great Passage』(舟を編む)
『Our Little Sister』(海街diary)
『Like Father, Like Son』(そして父になる)
『The Kirishima Thing』(桐島、部活やめるってよ)
『No Longer Human』(人間失格)
『The Inch-High Samurai』(一寸法師)
『Strong in the Rain』(雨ニモマケズ)
『Ryoma!』(竜馬がゆく)
『Journey under the Midnight Sun』(白夜行)
『Weathering with You』(天気の子)
『A Silent Voice』(聲の形)
『Demon Slayer』(鬼滅の刃)
英語タイトルを気ままに解説!
いかがですか? どの英語タイトルもバッチリですよね!
『It’s Tough Being a Man』(男はつらいよ)は、「そのままやないかい!」とつっこむミルクボーイの声がどこからともなく聞こえてきそうですが(笑)、toughという単語がドンぴしゃ! 寅さんのトホホな笑顔が目に浮かびます!
『海街diary』の英語タイトル『Our Little Sister』を見ると、すぐにあの、素朴でかわいいみんなの妹、広瀬すずちゃんの顔が浮かんできますよね!
『The Kirishima Thing』(桐島、部活やめるってよ)は、英語という言語のコンパクトさ、小気味よさをあらためて感じるとともに、この、日本の若者特有の口調〝ってよ〟の語感は「どこ行ったんや~?」ってツッコミたくもなります。
『No Longer Human』(人間失格)……。思わず、絶句です。ああ、『人間失格』の〝失格〟は、英語でも容赦なかった~! 学校英語で習うno longer(「もはや~ではない」)の破壊力! 厳しさと恐ろしさに身がすくみつつも、なぜかクスリと笑ってしまいます。
『Ryoma!』の〝!〟の威力のすごさ!
『Weathering with You』(天気の子)は、weatherの3つの意味(「天気」「風雨に耐える」「危険や困難を切り抜ける」)をうまく原題やストーリーと絡めていますね!
『Kidnappers』?!
さてここで1つ、笑い話を。2年前にロンドンに住む高校時代の友人を訪ねたときのこと。友人のダンナさまはイギリス人で、日本の映画やポップスが大好きなんです。で、日本映画の話に花が咲き、わたしはこう言いました。
”I watched 『Kidnappers』 last month.”
すると友人のダンナさまは、一瞬、えっ?という表情をしましたが、すぐに返してくれました。
”…… Oh! How was it? I love Koreeda’s films!”
Koreeda’s films ―― はい! 日本が誇る名監督、是枝裕和さんの映画です。
さてわたしは、是枝監督のどの作品を観たのでしょうか? そうなんです! みなさんもお気づきかと思いますが、わたしはその作品の英語タイトルを、『Kidnappers』と言い間違えてしまったんです。
さて、正しい英語タイトルは何でしょう?
ヒントは「犯罪者の一種」。もうおわかりですよね! 答えは、『Shoplifters』(万引き家族)です! 『Kidnappers』だと『誘拐家族』になってしまいますよね! おお、こわっ!(笑)
邦楽・洋楽のヒットソングで英語を学ぼう!
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文芸翻訳の中でも特に深い読解力と言葉選びのセンスが要求される楽曲翻訳について、一行ずつ丁寧に解説した飜訳集。
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兵庫県出身。大阪女学院短期大学英語科、Gwinnett Technical Institute Travel Management学科卒業。電機会社勤務、英語塾経営・運営を経て、翻訳業に従事。現在、児童英語講師と翻訳通信講座添削トレーナーも務める。
翻訳実績(和訳):ノンフィクション(人文系)、コミック(英文学対訳シリーズ)、雑誌(クラフト系)、映画関連資料(公式サイト、劇場用パンフレット、予告編、特典映像、プレスリリースなど)
『趣味は洋画と洋楽(〝あの〟映画を観てからQueenに夢中!)鑑賞、阪神タイガースの応援(田淵・掛布時代からのファン! わっ、古ぃ~)。日課は20分程度のウォーキングとストレッチで、運動不足解消のため両手両足を大きく振って歩くので、すれちがう人から「お! がんばっとるな!」と声をかけてもらっています(笑)。そして夜はお酒のアテづくりと「家呑み」。毎晩8時以降は居酒屋の女将に変身します!』
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楽しいね♪
個人的には『そして父になる』が好き☺️
ほんと、楽しいです!
個人的には寅さんと、桐島が好きです!