みなさん、こんにちは!
12月6日は、第2アドベントでしたね。
アドベント(待降節)はクリスマス前の4つの日曜日のことでクリスマスを待ち望む期間です。今年はクリスマス・マーケットもほとんど開催されないようですし、例年とは雰囲気も異なるかもしれませんが、ドイツではもうそろそろ、みんなソワソワしだす時期のはずです。
さて、今回も2003年のことを振り返ってみます。
(*Ken先生のドイツ留学体験記、前回までの記事を見逃した方はこちらからどうぞ!)
2003年のクリスマスは、僕はスイスのバーゼルで過ごしました。その時、ドイツのフライブルクに留学していましたが、留学前にドイツ語を習っていたスイス人の先生がその時はすでに帰国し、バーゼルに住んでいたのでした。
日本でいうと正月を一人で過ごす人を哀れんで、という感じでしょうか、僕を泊まりで招待してくれたのでした。
当時の日記を引用してみますね。
*** 2003年12月24日の日記 ***
今回お世話になったのは、僕が日本にいたときのドイツ語の先生(Kさん)宅。
彼女は今、旦那さんと1歳の子供と住んでいます。
24日の夕食のみ、同じくバーゼルに住んでるKさんの両親のところによばれました。
Kさんの両親、Kさん家族、お母さんの友達(スイス人)、僕の7人でお食事。
その両親宅はアパートなんだけど、築150年位らしくて、かなりしっかりした、
建物でした。で、天井が高い高い。3mはあったと思います。これぞヨーロッパの家
って思いました。
僕らが到着するとすでにテーブルはセッティング済み。クリスマスツリーも
本物のもみの木です。持ってきたプレゼントは木の下に置きます。
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やはり実家過ごす、というのは日本の正月のようですよね。
このようなところにお呼ばれすると、出席者全員分のプレゼントを用意しなければなりません。当時僕がそのことを把握していたのか、K先生に直前に教えてもらったのかまでは覚えていないのですが、とにかく僕は、その場にいた全員から何らかのプレゼントをもらったことは覚えています。「全員にプレゼント」というと大変な感じもしますが、そんなに高価なものである必要はないみたいで、ちゃんとその人のことを考えて選んだものかどうかか重要だという気がしています。
そしていよいよディナーなのですが、その前に儀式、というかイベントが。このおうちはとくに経験なキリスト教徒というわけではないと思いますが、季節の行事としてこれをやっていました。
*** 2003年12月24日の日記 ***
しばらくして、お母さんが小皿をもって台所から登場。
白いせんべいのようなものが載ってます。
そのせんべい、ドイツ語では”Brot”(「パン」という意味)
と呼ばれてるらしいんだけど、どうみてもせんべい。
クリスマスの食事前にお願い事をするためのものなんだそうです。
・二人ずつペアになる。
・僕の持ってるせんべいを相手がちょっとちぎる。
・相手の来年のことに関するお願いを僕が言う。
(「健康でありますように」、など)。
・お願いが終わると、相手はそのちぎったせんべいを食べてよい。
・今度は僕が相手のせんべいをちぎる・・・
これをすべての人とやります。総当たり戦で。
Kさんいわく、これはカトリックの習慣らしいです。
スイス特有の習慣ってわけでもないみたいです。
ちなみにKさんのお父さんはチェコ、お母さんはポーランドの出身で、
一家はKさんが小さいときにスイスに引っ越してきたそうです。
で、そのお願いがわりとみんな長い。一言じゃないんです。
Kさんが僕にしてくれたお願いは、たとえば
「これからももっとドイツに慣れてね。その調子でドイツ語がんばってね。
そしてうまく大学に入れるといいわね。来年もラッキーでありますように。
また健康でもありますように。また今度も遊びに来てね。」
ってかんじ。
僕はその「せんべいでお願い」のことを説明された直後に、
これはなんか台詞を用意しなきゃと思って
「来年もどうぞよいお年を」くらいの台詞をドイツ語で思いついてたんですけど、
Kさんがまず最初に、そんなに長くお願いしてくれたもんで、
僕はあせって
「あなたとあなたの子供の関係が健康でありますように、
来年が健康でありますように、仕事がうまくいきますように、
仕事(イタリア語の教師)とあなたの関係が健康でもありますように」
とか言っちゃいました。なんとなく雰囲気は出せたとは思うけど、変。
自分で言っておきながら「~との関係が健康」って言い回しが頭から離れませんでした。
でもその言い回しを練り直すまもなく、次々とせんべいをちぎらなきゃだったんで、
それ以後すべての人に「健康な関係」を祈ってまわりました。
そんだけ何回も変なドイツ語を言ってると誰か一人くらい笑うかなと思ったけど、
誰も笑ってくれませんでした。外国人に寛容なのはとてもうれしかったけど・・・
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今となってはこれが聖体だとわかるんですが、ほんとに白いせんべいみたいなのです。
このときはほんとうに焦りました。まだ拙いドイツで即興で相手の来年の幸福を祈るフレーズをつくるって大変です。
このBrotの儀式が終わって、さていよいよディナーです。
あいにくメニューについては日記に書いていなく、写真も撮ってないのですが、メインは鴨だったはず。鴨のローストで詰め物はオートミールのようなもので、ドライいちじくなどのドライフルーツが入っていました。「へー、ドライいちじくと肉を合わせちゃうんだ」と驚いた記憶があります。甘酸っぱくて美味しかったですよ。
そしてこのお宅には2泊して、フライブルクの家に帰ったのですが、このときにドイツの住宅の暖房についてよーく知ることとなりました。
僕の借りていた部屋の暖房は、お湯が循環しているラジエーター(オイルヒーターのようなものが各部屋にあるセントラルヒーティング)でした。もちろん、2泊も外出しているのだからそれが当然と思い、暖房は完全に消して出てきました。部屋に戻ってくると、寒いのはよいのですが・・・
そうなんです、セントラルヒーティングのラジエーター式の暖房って部屋があたたまるまでものすごく時間がかかるのです。クリスマスでほっこりしたあとに、ほぼ一晩を寒い部屋で過ごしたのでした。今となってはよい勉強でした(笑)
国際協力団体、翻訳・通訳会社での勤務を経て、現在はフリーランスで英語講師、翻訳、通訳に従事。予備校での講師経験や、大学や企業でのTOEIC講師担当経験も持つ。またドイツでの留学経験も活かし、ドイツ語も仕事にしています。
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