割に新しい言葉ですが、ご存知の方もいらっしゃると思います。こんにちは、Tomokoです。
人気の観光地にたくさんの観光客が押し寄せて、物価の高騰を招いたり交通機関が混雑したり、と住民の暮らしに不便が生じる意味だそうです。日本もこの10年「観光立国」のスローガンのもとに政府・民間ともに世界に向けてがんばって発信していますよね。
その効果もあるのか、先日住まいのある地方都市からちょっと離れた日帰り温泉施設に行ったら、そこにも外国人観光客がチラホラいて、正直びっくりしました。観光地からは程遠い、かなり不便な場所だからです。大きな駅から電車に乗って最寄の駅まで1時間近く、降りてから徒歩で20分くらい歩くところです。
レンタカーも可能と思いますがフツーの住宅街ですので、日本人の私もナビを見ながらどうにか来れたようなものでした。そんな「こんなところにまで海外から観光客が?!」という経験、皆様もあるのではないでしょうか? overtourism に関しては、例えば東京出張で会社規定内の料金でホテルが取れない経験をした方も少なくないと思いますが、世界にはもっと顕著な都市があります。
バルセロナやベネチアでは多すぎる観光客と住民との間に軋轢が生まれ、タイ政府はピピ島(映画のロケ地にもなった美しいビーチで知られています)を、観光客が殺到して環境が悪化したため閉鎖すると発表しました。LCCや民泊の普及で航空運賃・宿泊費が安くなったこと、SNS発信で情報が早く正確に得られることで観光客が集中する事態が起きやすいことが overtourism の要因と思われています。
しかし、日本では先日の台風被害や地震による観光客の落ち込みが様々なところで深刻な影響を与えています。観光客が多いことは「うれしい悲鳴」のようなもので、少し減っても目に見える変化が現れ、大いに減るともう大変です。一度減ると立て直すのに時間がかかりますよね。「ずっとちょうどいいくらい」たくさん来てくれたらそれが一番なのですが、この夏カンボジアのアンコール遺跡群に行って、そこで「観光客が増え過ぎない」ヒントを垣間見たような気がしました。
カンボジアは、アメリカ合衆国のEstaのような入国ビザが必要で、専用のサイトから手続きできますが、料金一人当たり30+6(システム料)の36米ドルが必要で、30日有効です。事前に申請しなくても空港でも手続き可能ですが、行列次第では数時間かかると思った方がよさそうです。
加えてアンコール遺跡群を見るには、観光チケットが必要なのですが1日券が37米ドル、去年の2月以降、20ドルから大幅に値上げされました。(値上げ分のうち2ドルは小児病院への寄付とのこと・あとは不明)もちろん外国人だけで、カンボジア国民は無料で入れます。1日で遺跡群を回るには、タクシーやトゥクトゥク、レンタルバイクが必要で、手強い運転手との長い交渉の末、値段が決まります。という具合に、世界遺産は見たいけど、そこかしこに「気持ちを削ぐ」トラップがあることで、「爆発的」には観光客が増えないのかな?と思いました。
あれだけの遺跡ものんびり見学でき、タイのような「前にも後ろにも行けない」人混みはどこにもなく、とは言え閑散という訳でもない。これを「ちょうどいい」と呼ぶのかしら?です。写真はシェムリアップの繁華街「パブストリート」です。
日本で大学卒業後、通訳資格を得て企業で働いた後、アメリカ在住。現地で言語療法士からマンツーマンのレッスンを受けつつ、出産・子育てなど含む生活を経て帰国。大学、専門学校、企業で通訳・翻訳・講師を務め講師歴は20年。どの言語でも「文は人なり」がモットーです。
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