こんにちは、講師のエリカです。
言語は1対1で対応していないので、日本語には、直接英語に訳せない表現もあります。今日はその中から、「姿」と「様子」という日本語を見てみたいと思います。
「姿」は英語で…?
辞書によると、日本語の「姿」はfigure, form, appearanceなどと訳すことができます。しかし、実際に「姿」が使われている日本語の英語訳を見てみると、このような語彙が一切使われていないことが多いのです。
①「彼がついに姿を現した。」
He finally showed himself.
場合によってはappearとも訳されることがあります。
②「都市から鳩が姿を消した。」
Pigeons disappeared from the city.
③「遠くに山の姿が見える。」
I can see mountains in the distance.
これらの例文からわかるように、「姿」は必ずしも翻訳する必要がないのです。むしろ、敢えて訳さないほうが自然な英語になることが多いです。
では、「様子」は?
「様子」は意味的に「姿」に似ているのですが、その英語訳はどうなのでしょうか?辞書ではstate, situation, appearanceなどと訳されているのですが…
結論から言うと、「様子」も直接訳すことが難しい日本語の一つなので、表現によっては様々な訳し方が存在します。
④ 「最近、彼の様子がおかしい。」
He’s been acting weird lately.
actは「行動する」という意味なのですが、この英訳は行動の様子を表していると考えられます。×”His state is weird.”など、「様子」をそのまま名詞を使って訳す必要は全くないのです。
⑤「そちらの様子はどうですか?」
How’s the situation over there? / How does it look over there?
前者ではsituation(状況)を使って表しています。一方、後者では「様子」自体を表す表現ではなく、それを観察する側が行う行為を表す動詞lookを使っています。
⑥ 「彼女は疲れている様子だ。」
She looks tired.
こちらも、シンプルに動詞lookを使って表しています。仮に×”Her appearance is tired.”と直訳したとしても、自然な英語になるわけではありなせん。(文法的には正しい英語ですが、実際にネイティブが使う表現ではありません。)
これらの表現には、日本語と英語の考え方の違いが表れていると言えます。ここで見てきたように、「姿」も「様子」も直接英語に訳すことのできない日本語です。しかし、逆に言えば、難しい語彙が分からなくても簡単な英語を使って表すことができる日本語なのですね。難しく考えずに、知っている英単語でシンプルに表現してみましょう!
日本語能力試験最難関のN1取得。幼い頃から日本文化に興味を持ち、日本語も日本人と見分けがつかないほど流ちょうに使いこなせるN1講師。座右の銘は「Challenge yourself!」
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