みなさん、こんにちは!
英語は「雑種犬のような言語である」と言われています。
世界中で使われる多種多様の英語
世界中で50カ国以上が英語をある程度使っていますし、英語の成り立ちを考えても、もともとにいろんな言語から言葉などを借り、作られた言語です。このような背景から、万人が認める英語の文法ルールを決める組織がありません。それもそうですよね。ネイティブと言われる私だって、イギリス人の先生に間違いだと指摘される英語を話しているかもしれませんし、アメリカ人はオーストラリア人の英語を不自然だと感じるかもしれません。
統一のルールがない代わりに、スタイルブック(英語でStyle Guideと言います)が山ほどあります。
アメリカでは主に3つのStyle Guideがあります。
The Chicago Manual of Style一般の著者向け
Associated Press Stylebookジャーナルズム向け
MLA Style Manual and Guide to Scholarly Publishing 学者向け
ちろんこれ以外にもまだまだありますし、同じジャンルのものでももちろんそれぞれの見解が違うこともあります。
まずはこの英文問題に挑戦!
前置きはこれくらいにして、私が今回の皆さんの英文を最も多く添削した箇所を紹介します。
みなさんなら、この空欄に何をいれますか?
However, if someone who knows my personality hears about my transfer, ( ) will think it’s weird that I now belong to the sales division.
someoneというのは一人のことなので、単数を表す代名詞しか入らないと教えられた方は多いと思います。
それならだいたい、heかsheとしか考えられないですね。
ですが、someoneは男性か女性か不明なので、英語では最適な代名詞はありません。
昔は he が正しいと学校で教えられましたが、これは現在では性差別にあたると考えられることがあるので、he はちょっと危険な言葉になってしまいました。
私の個人の考えもそうですし、この文章でももし、”he”が空欄に入るなら、someone は男性しか表さないと感じます。”he”と書いた方が大半だったのですが、これを私はtheyに修正しました。
これは、”Singular they”といって、名前そのままですが、theyを単数扱いにして、人数、性別ともに不明の時にtheyを使う表現方法です。
この私の訂正に対して、多くの方が、“theyは複数形の代名詞ですよね?単数形のsomeoneと合わせるのは、誤りではないでしょうか?”と質問してくれました。
確かに、日本で教えている英語のテキスト、文法書のどれをとっても、ここにtheyを入れなさいという教科書を見つけることは、なかなか難しいでしょう。ですが、この疑問を誰に聞くかによって答えが変わります。Style Guideの見解も満場一致とはいきせんが、正しいかどうかを別にして、日常的に使われているのが現実です。
有名なシェイクスピアも使っていた singularーthey
Shakespeare’s A Comedy of Errors, Act IV, Scene 3:
There’s not a man I meet but doth salute meAs if I were their well-acquainted friend
会う人会う人みな、私の親しい友人のように、挨拶してくる。
あのシェークスピアも自身の作品の中にこのsingular they を所有格で使っています。
でも、ある程度昔から、singular they が口語的にも文語的にも使われてきた証だといえますね。
じゃあこれから、heではなく theyにしたらいいんですね?と聞かれると、私から、確実に今の時点で問題なく使えると言い切れないのですが、こんなにも、日常的に使われているなら、将来的に Style Guidesなどで承認されることはあると思います。
でも、現時点はStyle Guideでもこのthey の使い方を良しとする見解は殆ど出ていません。しかしながら、先ほどお話した性差別問題がありますから、性別不特定の場合にheを使うのも避けた方がいいとお勧めします。
He、theyのかわりに使えるものを考えた時、 他の方法として、she とs/heとhe or sheという代名詞があります。
早速ですが、sheはheと同じ理由でよくないです。(ただし、女性解放への支援などの文章なら、使ったらいいと思います。)
s/heはhe or sheの省略的表記ですが、文章中に出てくると、ちょっと変で、一瞬ん!?っとなり、わずらわしいと感じます。
残る選択肢、
He or she(she or he)が正式の場合には一番良いかもしれません。
もし、上記のような代名詞を選択しなければいけない場面に陥ってしまったら、翻訳や校正をお仕事としてされている方は所属の会社や顧客の要望を確認したほうがいいかもしれませんね。
たかが代名詞、されど代名詞。
この小さな単語1つですが、大切にしたいところです。
選択肢に迷ったら、、、問題解決方法はまだあります!
でもどれをとってもリスクがある、こんな代名詞、どれでも使いたくないという方はもう一つの方法があります。
文章構造を変えることです。
どのように変えたらこの問題が解決できるでしょうか?
一番簡単なのは主語を複数形にすることです。
・ If people finds out about my transfer to the marketing division they will think it strange.
他には、代名詞のいらない文章を作ることもできます。
・ Someone will surely think it strange upon hearing of my transfer to the marketing division.
Theyとおなじようにtheirはhis/herのかわりに使えます。
・ Look, someone forgot his umbrella. → Look, someone forgot their umbrella.
両方を避ける場合
・ Look, someone forgot this umbrella.
theyの単数扱いにすること、できること自体をご存じでない方がほとんどだと思いますので、新しい知識として知っておくといいと思います。
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