こんにちは!
冠詞ナビブック著者のBrian & Kayoです!
過去数回にわたって冠詞の使い分けミスによってどのような誤解を招いてしまう可能性があるかというお話をさせていただきました。
詳細>>漫画で学ぶ冠詞
関連記事>>日本人が冠詞を間違える2つの理由
今回は使い分けミスではなく、冠詞の特徴をうまく理解するといかに効率的に話が出来るのか、ということに焦点を絞ってみたいと思います。
では最初に以下の会話からご紹介します
Kayo : Hey Brian, you’re home!(あらブライアンおかえり!)
Brian : Hi Kayo. What’s up?(カヨただいま~。何か変わったことあった)
Kayo: You’ve got a call while you were out.(出かけている間に電話がかかってきたよ)
Brian : Oh yeah? From who?(そっか。誰から?)
Kayo : From Tsutomu.(ツトムさんからよ。)
Brian :You mean THE Tsutomu?(____________)※訳を自分で考えてみて下さい。
Kayo : Yup, THE Tsutomu.(____________)※訳を自分で考えてみて下さい。
冠詞ナビブックでは「原則で固有名詞には冠詞は不必要である」とご説明しました。
確かに通常は固有名詞には冠詞は不必要です。
というのも固有名詞自体が世界に一つしか存在しないものであるはずなので、そもそも冠詞は必要ないという考えに基づいているからです。
つまりこの状況は例外と言えるのですが、冠詞の特徴をご理解いただくと、敢えてこの場で冠詞を使う事によってとても効率的に思いのほか沢山のメッセージを伝えることが出来るとお分かり頂けると思います。
上記の会話に登場する「The」は冠詞ナビブックでご紹介したゴールデンルール
②:「相手が特定可能な名詞にはtheが必要!」に基づいているものです。
かかってきた電話は誰からだったのか聞かれ、Kayoが「From Tsutomu」と答えたのを聞いて、
Brianは「You mean THE Tsutomu?」と聞き返します。
上記の通り「The」は相手にとってこの名詞は特定可能だということを表していますので、このように定冠詞を付けることによって
「君の知ってるあのツトムってこと?」
という意味を持つようになります。
種明かしをすると、このツトムという人物(仮名)は、Brianのことが大好きなおじさまで、道で会うと長時間世間話をすることはもちろんのこと、ことある毎にBrian宛てに電話がかかってきたり、ありとあらゆる機会に手紙をいただくBrianの熱狂的ファンの方なのです。
先に説明した通り、通常は固有名詞には冠詞は不必要です。
しかし敢えてこのように「The」を付けることによって、
「There are many people who have the name Tsutomu in Japan, but you mean that one person who likes me and calls me all the time?
(日本には他にもツトムという名前の人は沢山いるけれども、その中でも僕のことが好きでよく電話をしてきてくれる、あのツトムってこと?)」
という思いのほか沢山のメッセージを伝えることが出来るのです。
T・H・Eのたった3文字でこれだけ沢山のメッセージが伝えられるのは効率的だと思いませんか?
さらに、加えて学校では教えてくれないような生きた英語のポイントとしてこのようなシチュエーションでの「The」の発音方法があります。
日本の学校では通常基本事項を教えているはずです。
それは、子音で始まる単語の前に来る定冠詞は「ザ」と、母音で始まる単語の前に来る定冠詞は「ジ」と発音することです(冠詞ナビブックでもこの点は紹介しています)。
しかし、今回の場合結論から申しますと、上記の会話に登場する「THE Tsutomu」は子音の前ながらも「ジ」と発音します。
基本は先に挙げた通り子音と母音の違いで定冠詞の発音の仕方を変えることは皆さん既にご存知だと思いますが、意図的に強調をしたい時にはそのあとに続く単語が子音で始まるか母音で始まるかに関わらず「ジ」と発音します。
例えば、「ABC Inc. is the most well-known company in the industry.」
という文に登場する「the」を基本通り「ザ」と発音すると、
「ABC Inc.は業界で一番有名な会社だ。」
という文字どおりの意味になります。
しかし、「the」の発音の仕方を「ジ」に変えるだけで意味はいっそう強調されます。
定冠詞の発音方法を少し変えるだけで、
「ABC Inc.は業界では断然一番有名な会社だ。」
という「周知の事実」的な意味合いを持つようになるのです。
つまり、冒頭の「You mean THE Tsutomu?」を振り返ると、まず定冠詞をつけることで「君が知っているツトム」という意味を表し、さらに発音を「ジ」にすることによって「君が分からないはずが絶対ない唯一無二のツトム」という意味に強調することができるわけです。
いかがですか?
このように冠詞の役割と特徴を理解することができれば、ちょいと工夫したり発音を変えたりするだけで効率的に想像以上のメッセージを伝えることが可能になります。
冠詞の理解が深まれば深まるほど、映画を見ていて「Theがあんな風に訳されてる!」なんていう発見も増えるかもしれませんね!
詳細>>漫画で学ぶ冠詞
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