こんにちは、講師のエリカです。
今回は、よくある間違った表現の使い方についてお話したいと思います。
【逆に ≠ on the contrary】
「逆に」は日本語でよく使う便利な表現ですね。そして、この「逆に」という表現を、英作文でそのまま“on the contrary”と訳されている方が多いです。contraryは「逆」「反対」のような意味がありますし、直接英語に訳すと、確かにそうなりますね。
ただ、この「逆に」と“on the contrary”の使い方が少し違います。文脈によってはそう訳せないこともないと思いますが、実は“on the contrary”は、どちらかといえば「それどころか」「むしろ」のように使うのです。前の発言の反対を強調するような役割を持っています。おまけに、on the contraryは会話ではあまり使わず、主に文章で見かける表現で、気軽に使える「逆に」とはフォーマルさ加減も違います。
早速、使用例を確認してみましょう。
① He is not tired at all. On the contrary, he is raring to go.
「彼は決して疲れてはいない。むしろやりたくてうずうずしている。」
※この場合、on the contraryは「逆に」と訳せなくもないと思いますが、「むしろ」のほうがしっくり来ます。
② He wasn’t late. On the contrary, he was an hour early.
「彼は遅刻しなかった。それどころか一時間早かった。」
では、日本語の「逆に」の不自然な訳し方の例も見てみましょう。
③「彼は全てのテストで赤点を取ったらしい。逆にすごくない?」
× Apparently, he flunked all his tests. On the contrary, isn’t that amazing?
日本語が分かる人には意味が通じると思いますが、“Isn’t that amazing?”は普通に考えると“He flunked all his tests.”の「反対」ではないので、不自然な使い方になってしまいます。
では、「逆に」は一体どう英訳すればよいのでしょうか。結論から言いますと、残念ながら英語には、日本語の「逆に」のニュアンスや使い方を100%正確に再現した表現は存在しないと言ってよいでしょう。文脈によって柔軟に対応するしかありません。
③で「逆に」のニュアンスを表すには、例えば“in a sense”(ある意味では)で代用することができます。
Apparently, he flunked all his tests. Don’t you think that’s pretty amazing in a sense?
「彼は全てのテストで赤点を取ったらしい。ある意味ですごくない?」
「逆に」を英語で表すには残念ながら一つの特効薬はありませんが、そのまま“on the contrary”と訳さないようにだけ注意しましょう!「むしろ」「それどころか」のような意味で使う場合は“on the contrary”を使ってもOKです。
日本語能力試験最難関のN1取得。幼い頃から日本文化に興味を持ち、日本語も日本人と見分けがつかないほど流ちょうに使いこなせるN1講師。座右の銘は「Challenge yourself!」
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