グロッサリの作り方
いつかの記事『専門知識を身につけて翻訳技術をアップ』で、翻訳技術を高めるためにはグロッサリづくりが大事ということを少しお話ししました。
今回の記事では、そのグロッサリの作り方についてもう少し詳しくお伝えしようと思います。
グロッサリとはつまり「用語集」のことです。メディカル、特許、法律、マーケティング、ビジネス、政治といった実務翻訳ではその業界ならではの専門用語がたくさん登場します。
それらすべてを最初から知っていなくてはいけないというわけではないのが翻訳のありがたいところですが、分からなければ自分で逐一調べていかなくてはなりません。
でも、その場その場で調べただけで終わってしまったらもったいないですよね。
そのときはちゃんと覚えられていても、次に同じ単語やフレーズに遭遇したときになかなか思い出せない、という悲劇もあります。
忘れてしまったからといっていちいち再度調べるのも面倒ですし、トータルで見れば時間の無駄になってしまいますよね。
そういう事態を避けるために習慣づけておきたいのが、グロッサリ作りです。
それまで知らなかった専門用語や今後も使うと思われる言葉について、単語、品詞、意味、そして必要であれば用例も加えて、まとめて一覧にしておきます。
実際の翻訳業務のときはもちろん、翻訳講座などで新しい専門用語に出会うこともあるかと思います。
そういうときにもグロッサリにどんどん加えていきましょう。
作業としては単調なものなのですが、それでも継続することで自分だけの立派な翻訳小道具を作ることができます。
また、ただグロッサリに単語を追加するだけでなく、何度も読み返すようにしておけば、いちいち調べなくても大体の意味をつかめるようになります。
「調べなくても意味や定義をしっかり理解できている」というのも、最終的には個人の翻訳技術の高さにつながるのです。
さて、グロッサリを作るためのツールとしてはExcelがおすすめです。
Outlook製品をお持ちでない場合はGoogle Documentのスプレッドシートでも良いでしょう。見た目が表のような形になればどんなツールでも構いません。
デザインは特に凝ったものにする必要はありません。シンプルな単語帳風になるように作成できればOKです。
専門分野が複数に及ぶ場合は別ブックに分けても良いのですが、ブックではなくシートだけを別にする形でも見やすいグロッサリになると思います。
あとは専門用語を調べるたびに登録していきましょう。
最初は少ししかエントリーがなくても、続けるうちに専門用語という「翻訳資産」が増えていくので、何だかコレクションでもしているような充実感も味わえます。自分なりにコツコツと、オリジナルな「肥えた」グロッサリを作っていきましょう!