翻訳技術のUP力
皆さんは、翻訳の技術を向上させるために、どのようなことをされていますか?
翻訳講座で学ぶことも、もちろん、その一つです。
翻訳の専門家から学べることは大きいので、翻訳ルール一つにしても学ぶことがあり、仕事として将来独立を目指している方には、とても有意義な時間になるはずです。
「基本な技術が少し身についてきたかな」と思ったり、自分の翻訳に少し自信が出てくると、次は試してみたくなりますよね。
その段階で、おそらく多くの人が経験するであろう「翻訳トライアル」があります。
仕事を発注することを目的に、各会社が翻訳者のレベルをしるために設定している翻訳のテストです。通常は合格、不合格の通知を受け取ることがほとんどですが、このトライアルも、自身の取り組み次第で技術力UPの機会になると思いますので、色々活用してみましょう。
まず、トライアルの種類や形態ですが、ここでは「一般的なビジネス翻訳」と「出版翻訳」をするには?という視点から、代表的であろう2種類を挙げさせて頂きます。
@斡旋会社に登録するタイプ(一般的なビジネス翻訳)
合格したら、会社のリストに翻訳者として登録されます。その際には、自分の得意分野や語学のレベルなどの情報を提出し、その情報と合った仕事が見つかった場合に仕事の依頼がきます。
A出版本の翻訳者を探すタイプ(出版翻訳)
これは@とは違い、特定の本を訳してくれる翻訳者を探すために行われるトライアルです。実際に出版が決まっている本から課題が出され、1週間程度で仕上げ提出。そこから翻訳者が選ばれます。(翻訳者に決まれば、もちろん報酬が発生します。)
どちらのトライアルも無償の場合がほとんどですが、中には有償のトライアルもあります。
特にAの場合は、「この本を訳せる機会をもらえるなら、お金を出してでもトライアルを受ける!」という人がトライアルを受けるため、受ける側の真剣度も違います。そのため、集まる翻訳も必然的に質が高めです。
さて、トライアルは受かることもあれば落ちることもありますが(当然ですね)、落ちた時が肝心です。
「不合格だった…」と落ち込んでいる暇などありません。「なぜ、自分は落ちたのか」を知る絶好の機会なのですから!
当たり前に聞こえるかもしれませんが、この二つは基本編として抑えておきたいところです。
一つは、自分が訳したものをよく見返すこと。
一度翻訳文を提出すると「終わった!」という気持ちになり見返さないことも多いのではないでしょうか?
これは、かなりもったいないです。しばらく経ってから見返してみると、こうすればよかった、ああすればよかった、と思うことが山ほど出てきますので、それだけでも学ぶことがたくさんあります。
二つ目は、翻訳会社に「模範訳」を頼むこと。
これは、近年トライアルが増加していることもあり、フィードバックはしない、模範訳も配布していない会社も多いですが、翻訳者を育てる意識がある会社であれば応じてくれるはずです(最初から模範訳を配布してくれるところも、もちろんあります)。
文章の構成、言葉の選び方、文末の結び、全体のバランス等、合格する翻訳には理由があります。その理由を発見し、自分の翻訳へ取り込んでいくのが翻訳UPの近道になるのではないでしょうか。
ひと通り基本を抑えられるようになると仕事の量も増えてきますが、選ばれる翻訳者はやはり、これ以上の要素を持っているものです。その話は、また次回にすることとして、まずは翻訳技術UP基本編、きっちり抑えていきましょう!