知りたい?翻訳家の報酬
翻訳を仕事にしている人は、どのようにお金を得ているのか?
皆、気になるところではないだろうか。
翻訳家が仕事を受ける場合、色々な金額設定の仕方がある。
まず、一番多いのは「一文字=◯円」と換算する方法。ネットで翻訳会社を調べてみると分かるが、安いところから高いところまで結構な幅はあるものの、これが今の翻訳業界では主流だと思う。 適応される分野は、一般的な書類から手紙、専門的な論文、ウェブサイト等、様々。一般的な文章だと、安ければ1文字5円〜打診されることもある。専門的な文章になれば、それなりの金額を払う会社もあるが、翻訳業界でも悲しいかな、価格競争があるのは例外でない。
出版翻訳でも、この「1文字=◯円」計算で報酬を出すこともある。また「1冊=〇円」という「買い切り」という形態や、印税方式で「本の価格の◯%」ということもある。その会社によって方針が異なるが、出版業界では「1冊=〇〇円」というのが、比較的多いのではないだろうか。
映像翻訳の方では、「1分=〇円」という計算が主流だ。昔は映像翻訳といっても映画の翻訳が主であり、「1本=〇円」という報酬が主だったが、現在はyou tubeなどの映像媒体も普及し、日本の製品が海外へ、海外の製品が日本へ進出することも多い。そのため、5分や10分といった尺も増えてきている。
あとは「1ページ=◯円」という設定。1ページ400文字の計算で設定される場合が多い。あまり見かけないが、手紙などを訳す際によくある設定だと思う。ページ計算で私が翻訳を引き受けたものはあまりないが、一度アンケート調査の翻訳をしたことがある(あくまでも個人的な意見として聞いて頂きたいが、正直あまり良いレートではなかったので、それ以来、ページ計算の仕事は積極的に受けていない…)。
報酬は、会社側から提示されることもあるが、翻訳する側から提示することもある。他の翻訳家の方たちがどのように提示をしているのかはわからないが、私が見積もりを作成する場合「翻訳費」の他に「リサーチ費」を計上するようにしている。他のコラムにも書いたが、リサーチの質が翻訳の質を決める要素として大きいため、それを相手にも理解して頂いたうえで、仕事をするようにしている。これは私の考え方だが、翻訳のスキルが文字だけでカウントされることに違和感を感じてしまうのだ…。一番簡単で明瞭な方法かも知れないが、翻訳の価値は、文字の数では表現できないと思っている。ちょっと奢った考え方かもしれないが、それに見合うだけのスキルを磨いていかなければ!と自分に気合を入れるためでもあったりする。
翻訳の報酬は色々な形態があるが、自分で決めて提示できるような仕事をどれだけ増やせるかが、翻訳家として食べていくためには必要な気がしている。