意訳のさじ加減をつかむ方法
みなさん こんにちは!英日翻訳講師のMisaです。
いきなりですが、翻訳を学習中のみなさんは、「どこまで意訳していいんだろう?」と悩んだことがおありだと思います。特に、学習をスタートして日が浅い方は、このさじ加減がなかなかつかめないのではないでしょうか。そこで今回は、この「意訳のさじ加減をつかむ方法」のひとつをご紹介します。
意訳のさじ加減をつかむ方法
まず、以下のものをご用意ください。
■用意するもの(テキストとして)
- 出版翻訳
・外国語⇒日本語の翻訳を学習中の方は、外国語の書籍とその邦訳。
・日本語⇒外国語の翻訳を学習中の方は、和書とその外国語訳。
- 実務翻訳
・外国語⇒日本語の翻訳を学習中の方は、該当する分野の外国語の文書とその邦訳。
・日本語⇒外国語の翻訳を学習中の方は、該当する分野の日本語の文書とその外国語訳。
- 映像翻訳
・外国語⇒日本語の翻訳を学習中の方は、外国語の字幕とその邦訳。
・日本語⇒外国語の翻訳を学習中の方は、日本語の字幕とその外国語訳。
- ノートを1冊。
次に、方法と注意事項を。
■方法
@まず原文を読む。書籍や文書であれば1パラグラフ、字幕であれば1シーンぐらいを目安に読み進める。
Aその部分の翻訳を読む。
?原文と訳文を1文ずつ照らし合わせる。
C「ここまで意訳していいのか!」とか「こういうふうに訳せばいいんだ!」と感じた部分の原文と訳文をノートに書き記す。
D書き記した原文の「文の構造」を分析し、単語やフレーズの意味を辞書などできっちりと確認して、原文を直訳し、ノートに書き込む。
E自分が直訳した文とプロの訳文をじっくりと照らし合わせ、「さじ加減」をつかむ。プロのテクニックを自分なりに分析して、ポイントをノートに書き込む。
Fこのノートを常に手もとに置いて、時間が空いたときなどに目を通す。
Gこれをくり返して、書籍なら1冊、文書なら1文書、映像なら1本、きっちりと仕上げる。また、ノートをくり返し読んで、「意訳のさじ加減」や「プロの翻訳テクニック」を着実に理解する。
■注意事項
・必ずプロの翻訳者の翻訳を使用しましょう。自分が大好きな出版翻訳家の訳書とか、各分野で実績のある実務翻訳者の翻訳文とか、憧れている字幕翻訳家の映画など、自分が信頼しているプロの翻訳者の翻訳を使ってください。
・テキストは短めで、あまり内容が複雑でないものを使用しましょう。長いものや内容が複雑なものは、途中でやる気をなくしてしまうおそれがあります。
・書籍や映像は、自分が興味のあるものや、楽しめそうなものを使用しましょう。モチベーションを維持できます。
・ノートは必ず、くり返し読みましょう。くり返してインプットすることで、意訳のさじ加減やプロの翻訳テクニックを自分の頭にたたき込んでいきます。
ノートに書くことが秘訣!
さあ、みなさん、どうでしょう、ヤル気がわいてきましたか? ノートに書くのが面倒だと感じているかもしれませんが、それがこの方法の秘訣なんです! ノートに書くことで、原文の構造がわかりやすくなるし、プロの訳文のすごさを手で感じられます。そして、ポイントとして整理して書き出すことで、プロのテクニックを深く理解できるんです。またもちろん、ノートを見ればポイントがすぐにわかるし、何度も読み返して頭にたたき込めます。さらには、自分が実際に翻訳をしているとき、必ず、このノートを見てチェックしたくなるシチュエーションが訪れるんです! 「あっ、こんなタイプの原文があった!」とか、「こういう表現、あそこで出てきた!」などピンときて、急いでノートを開くことが何度もありますよ!
毎日、1パラグラフでもいいですし、毎週末、1ページでもOK。ご自分のペースで、少しずつ気長に続けてみてください。必ず、意訳のさじ加減がつかめ、翻訳のテクニックもグンとアップします!