専門知識を身につけて翻訳技術をアップ
翻訳技術を高めるのに必要なものというと、大前提としてそもそもの語学力が思い浮かぶかもしれません。
確かに、翻訳の基礎中の基礎となる語学力がなければ、翻訳者のキャリアを築くことはかなり難しくなるでしょう。しかし、翻訳者として活躍するには、言語能力以外にも求められるものがあります。それは、ずばり「専門知識」です。
翻訳業界ではビジネス・実務翻訳が案件の大部分を占めており、大まかに政経・社会、医学・薬学、科学技術、情報処理、金融・会計、法律、そして特許といった分野に分かれています。
翻訳のキャリアを始める際にはまず、これらの中から自分が一番得意だと思う分野を選択しなければなりません(複数選択も可)。
このときに語学力に加えてあると大いに助かるのが、該当分野における専門知識です。政経・社会なら政経・社会の知識、情報処理なら情報処理業界の知識を事前に持っておくことで、原文を読んだときにその意図や対象読者をすばやく正確につかむことができます。
翻訳作業中の調べものの時間も短縮することができるでしょう。
逆に、十分な知識がないと誤訳につながることはもちろんのこと、クライアントが求める様式やクオリティの訳文を作ることができず、作業中に暗中模索を強いられることも少なくありません。
そのため、ソース言語における読解力やターゲット言語での文章力を磨だけではなく、これから翻訳キャリアを志す分野や業界に必要な知識や専門用語もしっかりと身に着けておく必要があるでしょう。
もともとバックグランドがある場合はとても楽だと思いますが、そうでない場合には該当分野の機関誌・情報誌を読んだり、勉強会に参加したりすると良いと思います。
また、日頃のニュースなどにも専門知識につながるヒントが含まれていることもあるので、日常生活を送る中でもアンテナをしっかりと張り巡らせるのがおすすめです。
そして、その分野における重要用語などを学んだら、ソース言語・ターゲット言語の名称や説明などを盛り込んだグロッサリをつくっておくと良いでしょう。
これは自家製の単語帳のようなもので、Excelなどのツールを使えば簡単に作成できます。
オリジナルのグロッサリは翻訳作業におけるひとつの資産になりますし、何よりもひとつひとつ増やして肥やしていくのはとても楽しいものです。
ぜひ、自分だけの専門用語グロッサリを育てていきましょう。