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どんな環境にあっても質の高い翻訳を目指すには?

by K. Yuka

みなさんこんにちは、英日翻訳家デビュー講座インストラクターのK. Yukaです!今回の記事では、翻訳というお仕事の意外な一面や質の高い翻訳の目指し方について説明します。

 

「完璧な」翻訳とは?

翻訳学習中の状態から翻訳者になって案件を受注するには、まず翻訳エージェントのトライアルテストに合格する必要があります。しかし、このトライアルテストが難しくてなかなか合格しなかったり、不合格になった理由が分からなかったりすると、「翻訳における完璧性とは何か」、「完璧な翻訳とは何か」という問題に悩まされることになってしまいます。

 

ただ、翻訳エージェントとの契約に何とかこぎつけて案件をこなすようになると、「完璧な翻訳というものは果たして存在するのだろうか」と思わされることがほとんどです。翻訳が完了した案件は翻訳エージェント内部、または外注のレビューアの手に渡ってそのチェックを受けることになりますが、レビューの段階で1件も修正の入らない翻訳というものはほぼ存在しないと言って良いでしょう。もちろん、修正など全くない翻訳であるほうが翻訳エージェント、レビューア、そして翻訳案件の発注先であるエンドクライアントにとっては望ましいはずではあります。ですが、現実的に考えると、訳文のスタイルやトーンマナー、用語選定などについて翻訳者とそれ以外の関係者の間で食い違いが起こることは必至です。その点から考えてみれば、完全無欠な翻訳を目指すのは簡単ではありません。

 

完全な翻訳作業環境は存在するのか?

「レビューが一つも入らない翻訳はむしろ珍しいほうである」という点に加え、受注する翻訳案件すべてが完璧に整っているわけではない、という現状も翻訳を難しくしています。例えば、通常の実務翻訳案件であれば、訳文のスタイルに関するガイドや用語集などが配布されます。こうした補足資料があると訳文の背景が分かりやすくなり、快適な翻訳作業が可能です。

 

しかし、翻訳案件の中には、スタイルガイドや用語集が不十分であったり、そもそも支給されなかったりするパターンさえあります。このような環境での翻訳はとても大変なものです。エンドクライアントが翻訳に求める方向性がはっきりしないので訳文のトーンマナーを決めづらくなります。また、何よりも、マーケティング要素を含む製品・サービス名の正式な日本語訳がないと、原文でそうした専門用語に出会う度につまずくことになりがちです。どの仕事にも共通することかもしれませんが、完全に快適かつ効率的な環境での作業は実はとても難しいのかもしれません。

 

環境が万全でなくても質の高い仕事をするには?

それでも、作業環境の快適さ・効率性が不十分でないとしても可能な限り「完璧な」納品をしなければならないのが翻訳者の役割です。そこで、翻訳の質をできるだけ完璧に近づけるために、翻訳者のコミュニケーション能力が見直されつつあります。

翻訳者というと、部屋にこもって一人きりで仕事をしているというイメージが強いでしょう。しかし、実際には、先程触れた翻訳レビューアや翻訳エージェントと密接に連絡を取りながら作業を行うことが望ましいとされてます。特に、翻訳作業中に用語やスタイルについて疑問を持った場合は、「クエリシート」という質問シートを作成し、その訳文や用語を選んだ根拠を明確に記載して提出します。このクエリシートがあれば、翻訳納品を受け取った人が、原文の問題点や訳の根拠について知識を得て、レビューなどの作業をより効率的にすすめられるからです。

 

一匹狼的な印象のある翻訳者でも、このように関係者とのコミュニケーションを充実させることでより高品質な仕事を遂行できるという点は、ほかの職業にも共通して言えることでしょう。作業内容や環境に問題がある場合はなおさらです。この情報がこれから翻訳者のキャリアを目指される方のお役に立てればと思います。 

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