翻訳の仕事の探し方
私は、翻訳の仕事を友人の紹介によって始めました。詳細はプロフィールに書いた「翻訳家への道のり」と重複しますのでここでは省きます。人の運に恵まれた、ということが全てであり、お読みになってもあまりご参考にはならないかと思います。
紹介の仕事以外には、人材派遣会社に登録し、派遣社員や契約社員として期間限定の仕事に従事したり、「翻訳者ディレクトリ」で見付けた業務委託の仕事に従事したりしました。これらは多くの方々がやっておられることだと思います。これまたあまりご参考にならなくて申し訳ございません。
私が言語関係の仕事を続けてきた理由は、突き詰めればただ一つ、自分の学びのためです。上記のように、最初は人から勧められて始めた翻訳業でしたが、英語の訓練にとても役に立つことに気が付き、そのまま続けることにしました。
それでは何のために英語を学ぶのかと改めて考えてみましたが、実利的な目的は特にありません。太極拳や音楽や投資と同じで、外国語を含む言語の学びは、私の人生にとって最早不可欠な要素となっています。「それをしないでいると本来の自分ではなくなる」という行為です。結局、本質的に重要なものは、その事柄自体の他に、目的を必要としないのではないかと思います。かつて出会ったインドの哲学者が仰っていました:
“Truth is the death of intention.”
まだ仕事としての翻訳を全くやったことがない受講生の方々におかれましては、ボランティアでも構いませんので、責任が発生する立場で翻訳する機会を見付けることをお勧めします。他者の目が介在することにより、自分の言葉に対する客観性が養われます。世の中には、基礎レベルの翻訳や通訳の助けを必要としている人々が必ずいます。インターネットでボランティアを名乗り出れば、きっと何かしらの反応があるでしょう。そうした経験をご自分の業績として積み重ねる内に、報酬が介在する機会がいずれやって来ます。
何でもそうですが、お金を払う立場とお金を貰う立場というものは、まるでプレッシャーが異なります。お金を貰って翻訳する立場は自分の出す結果が全てです。結果が悪ければどのような言い訳も通用しません。逆にお金を払って翻訳をする立場は、あらゆる面で守られています。楽しく、快適に作業することが可能です。そして失敗することに何の責任も問われません。
受講生の皆様はその守られた環境を買っておられる立場です。安心してどんどんと失敗を積み重ねて下さい。失敗をすると忘れません。「受講料は失敗を買うため」です。そして、ご自分の失敗からきっちりと学んで元を取りましょう。まとまりのない文章になりましたが、何か一つでもヒントになる点があれば幸甚です。