トライアルテストを突破するには
在宅フリーランス翻訳者として働くうえで避けて通れないのが、翻訳エージェントのトライアルテスト。通常は翻訳エージェント求人への応募の一ステップとして、書類選考(履歴書や職務経歴書)に課されるのですが、これを突破しないことにはエージェントと契約ができない、つまりお仕事を得ることができません。
しかし、このテスト、合格率はさほど高くないとされており、何度挑戦しても不合格になってしまう、という嘆きの声も少なくないのが現状です。つまり、それだけ難易度が高く、合格して仕事につなげるためには基盤のしっかりとした実力が求められるということでもあるでしょう。
翻訳エージェントのトライアルテストに合格するのは確かにとても大変ですが、それでも突破するための応募のコツや、効率的な勉強法というものはちゃんと存在します。今回の記事では、この2点について私なりに説明してみようと思います。
まずは、トライアルテストに受かりやすい応募方法です。これに関しては、「翻訳者ディレクトリ」など、翻訳者対象の求人サイトに当たってみるのがおすすめです。というのは、こうした求人サイトの場合、求人そのものの緊急性が高いので、トライアルに合格する可能性が若干高い傾向になることが多いためです。
翻訳エージェントそのものの求人情報経由で応募するよりも、はるかに「通りやすい」と言えるでしょう。もちろん、トライアルテストに合格するためにはそれなりの翻訳力が必要不可欠なので、事前の勉強も欠かせませんが……。
求人サイトの中には独自の応募フォームを用意しているところもあり、翻訳エージェントに直接メールを送ることなく気軽に応募できるのも良いポイントです。また、求人情報は随時新しく追加されていますので、一社落ちたからといって意気消沈せず、どんどんトライしていきましょう。
さて、次にお話ししたいのは、トライアルテストに合格するための勉強法です。もちろん、トライアルテストと一言で言っても、IT、マーケティング、政治、医薬、法務、技術、特許など多種多様な分野があります。そのため、「これを勉強しておけば必ず受かる」とは一概に言い難い部分があります。分野ごとの専門用語というものもありますので、各自で用意しておく必要はあるでしょう。
しかし、少なくとも政治やビジネスの分野においては、トライアルテストの問題そのものがニュース記事やプレスリリースから出題されていることが多々あります。これは、こうした翻訳分野ではニュース記事やプレスリリースが実際の案件として翻訳されるケースが多いためです。そのため、これらの分野での翻訳者を目指す場合は、ニュースやプレスリリースの訳し方を研究し、日々練習を重ねていくと良いと思います。それだけでも、トライアルテストに合格するための実力はかなりつくはずです。
また、IT分野でもプレスリリース風のトライアルテストが多いですが、同時にローカライズ案件風のものも最近よく見られています。こちらは「ファイルを開く」「保存」といった独特の言葉の使い方をする、ユーザーインターフェイスに関連するものが多いです。訳文をできるだけ短くまとめたり、英語圏で好まれる表現を日本語で普通に聞こえる表現に置き換えたりする際の技術が見られているのだろうと思います。
これについては、普段私たちが利用しているサービスにこうした表現のヒントがたくさんあるので、身の回りを注意深く観察するようにすると良いかもしれません。また、英語と日本語とではユーザーインターフェイスを通じたユーザーへの呼び掛け方も大きく異なりますので、そうした点もよく観察・勉強しておきましょう。