気になる映像翻訳家の仕事
今日は、映像翻訳家の仕事についてお話したいと思います。
「翻訳」と言うと、皆様が先に浮かべるのはいわゆる「文芸翻訳」(小説などを翻訳する作業)の方だと思いますが、翻訳にも様々な種類があります。文芸、映像、特許、医療…。この中で映像翻訳とは、簡単に言うと映画やテレビ番組などの台詞や解説を翻訳する作業のことです。
映像翻訳には大きく分けて二つの種類があります。吹き替えの場合は文字数制限が設けられていないことが多く、映像で流れる音声をそのまま翻訳できます。ただし、作品によっては登場人物の口の動きに台詞を合わせるなど、工夫が必要になる場合もあります。
一方、字幕翻訳では一度に画面に表示できる文字数が限られているため、文字数制限が設けられていることが多いです。特に長い台詞の場合は一部省略したり、よりシンプルな言い換えを考える必要があります。そのまま一単語ずつ訳してしまうと文字数制限を超えてしまい、字幕が見切れてしまうのです。
なので、ある程度クリエイティブさが必要になる作業だと思います。
また、映像翻訳では文芸翻訳と違い、台詞のタイミングの設定や文字起こしなど、技術的な面も多くあります。会社によっては様々なやり方があると思いますが、タイミングの設定と翻訳作業を別の人が行っている会社もありますので、翻訳者はタイミングを気にせずに翻訳作業に専念できる場合もあります。作業にはExcelを使ったり、専用のソフトを使ったり、こちらも様々なやり方が存在します。
分量に関しては、1時間程度のテレビ番組なら1日で翻訳作業が終わることが多いです。小説を一本翻訳するとなるとかなり長期間の挑戦になりますが、テレビの場合はだいたい一発で完成することが多いです。逆に、「1時間の番組を訳すのに1日もかかるの?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。翻訳とは、予想以上に時間のかかる作業なのです…。
どうして時間がかかるかというと、専門用語の意味を調べたり、文字数の関係でより簡単な言い換えを考えたり、時代背景を研究したりなど、様々な作業が含まれているからです。内容によってはこのような「調べもの」が多くなることがあります。逆に、子供向けの内容だったりすると、調べものをせずに済むので、かなり作業スピードが上がることもあります。
一日中パソコンと睨み合う作業になりますので、休憩を取ったりストレッチをしたりするのも大事です。これは一般のオフィスでのパソコン作業にも当てはまることですが…。違うのは、翻訳者は在宅やフリーランスで働いている方が多いという点でしょうか。在宅でできる場合が多いので、会社に勤めながら副業として翻訳を始める方もいらっしゃるのだそうです。
将来、翻訳家に興味のある方は、映像翻訳も視野に入れると良いでしょう。